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Side.N


どうして?
どうしてあ〜ちゃんはのっちに笑いかけてくれないの?
あの男の人には笑いかけるのに。

あ〜ちゃんの恋人はのっちでしょ?
なのにどうして?
ねえ、どうしてなの?
あ〜ちゃんっ…



トイレで、溢れてきた涙を抑えて、控室に戻ると、
あ〜ちゃんは帰り支度をしていて、
ゆかちゃんは困った顔でそれを見ていた。

「あ〜ちゃん、これから用事あるけえ、帰るね。」

用事ってなに?
あの男の人と何かあるの?
最近いつもそうじゃんっ…

気がつくと、あ〜ちゃんの腕を掴んで、引き留めてた。
あ〜ちゃんは目を見開いて驚いていた。
自分でも驚いた。

「行かんでよ…。」

そう言った声が震えてるのにもっと驚いた。
少し前ののっち達なら、冗談みたいに言えたのに。
いつからこうなっちゃったんだろう。どうしてあ〜ちゃんは変わっちゃったんだろう。
こうしてる今だってあ〜ちゃんの反応が怖くて、もうあ〜ちゃんの顔が見れない。

「何よ…忙しいけえ、離して。」

のっちの腕を振りほどいて、撥ね退けて、
あ〜ちゃんは出て行った。

しっかり掴んでたはずのあ〜ちゃんの腕の感触は残ってないのに、
手を振りほどかれて、撥ね退けられた時の手の感触は残っていて、
また涙が溢れてきた。




Side.A



控室を出てから、私は走った。
少しでも遠くに行きたかった。

のっちが私の腕を掴んだ時、
一瞬目が合った時、
泣いてしまいそうだった。

だから私は逃げた。

「何よ…もう…。」

何でこんなになってまであ〜ちゃんに縋るの?
何で怒らないの?
別れたいとか思わないの?

……変なの。
私が全部望んだことなのに。
弱ったのっちを見たかったのは、私なのに。

……どうして。
どうして、私は今、泣いているんだろう?





最終更新:2010年11月06日 04:43