これは1000年前
あたし達が出逢い、生き、そして今を選んだ…記憶
Side A
「ヤスタカ…」
「どうしました?」
「おまえは、この世界が好きか?」
「ああ、もちろんだ」
「そうか、、私も大好きだ。幸せに暮らしている皆の顔が、大好きだ」
「私もそう思う。あなたが治めるようになってから、ますます良い世界になっている」
「そうだと、良いのだがなw」
「民も、あなたを愛しております。きっと、お父上も喜んでおります」
「そう、、かのぉ?」
「はい、母君と一緒に笑っていますよ」
私の両親は、同じ病で5年前に倒れ、母が先に亡くなって、二日後、後を追うように父が亡くなった
子供は私一人だったから、その時13歳で私は女王の座に付くことになった
もちろん、私にそういう準備はまだ出来ていなくて、最初はそれまで父たちに仕えてくれていた沢山の人に助けられながら、その責務を遂行することが出来た
でも、それなりに父たちの仕事を見てきていたから、わりと早く物事も憶えられたんだと思う
今ココに居るヤスタカも、私を助けてくれた一人
彼は神官で、私よりも少し年上だけど、若い時からその力を認められ、父に仕えてきた
「これから、私がしようとしている事を知ってても、、笑ってくれると思うか?」
「もちろん。二人が一番、あなたのことをご存知で、信頼している」
「信頼、か…。しかし民からの信頼は、裏切ることになるだろうな…」
「それを決めるのは民自信だが、民はあなたの愛をちゃんと感じているはず、、不安になることはないだろう」
「それは、多分無理じゃ、、」
「…」
「世の中に100%なんてない。もしかしたら、立て直すことも出来ないくらい、すべてが崩壊するかもしれない。それに残ったとしても、きっとたくさんの人を犠牲にすることになる…。愛するものをなくして、悲しまない者など、、一人もいないであろう」
今なら、最期に父が言っていた事が分かる
『私には、今見える笑顔を、奪う勇気はなかった』
あの時は、何のことを言っているのか分からなかった
けど、今は痛いくらい分かる
この世界には『リニア』が必要だ
しかし、、『リニア』が生きるすべてを懸けても、彼女が本当に望むものは、与えられない
本当の笑顔を与えることは出来ない…
もしも、二人のままだったら…それも可能だったのかもしれないけど
それに、100年後にまた新しい『リニア』は生まれる…
世界の人々の笑顔と…彼女たちの笑顔
私にとって、どちらも大切だけど…
この国を治める者として選ぶべきなのは、やはり大勢の人々…
「迷っているのか?」
「いや…心はもう、決まっている」
そうだ。私は決めたのだ
どんな結果になろうと、皆を信じると…
この世界の者たちなら、『リニア』がいなくとも幸福な世界を築いてくれる
『アヤカ、、おまえは迷うな…。未来を、信じろ…』
それが父の残した最後の言葉
だから、私は信じて進む
世界と…
二人の女の子…
私はどちらの笑顔も失いたくはない
私は、今ではなく、、
未来を…選ぶ
—つづく—
最終更新:2010年11月06日 04:47