バーベキューを始めてから大分時間が経った。
食べ物もほとんど消費し、今は雑談と飲酒の時間になっている。
「あの川の真ん中にある大きな岩に乗ってみない?」
西脇が川のど真ん中にある大きな平らな岩を指でさした。
足場としては不安定ではなく、しっかりとしている。
その大きな岩までは手前にある小さな岩を足場として使わなければならなかった。
「あ、いいね行こう行こう!」
樫野も大本も賛成した。
ピョーン
西脇は手前にある小さな岩を軽やかに跳び、目的の岩にたどり着いた。
「ゆかも行く!」
樫野も西脇に負けじと手前にある小さな岩の上を華麗に舞った。
「あたしも今から行くよ」
大本も軽いステップで岩場に到着した。
「綾香もおいで〜!」
3人は座ってビールを飲んでいるニセ脇に向かって叫んだ。
「めんどくせーな…」
ニセ脇は文句を言いながらも、3人のところへ向かってきた。
ピョーン!
「す、すごい…!」
ニセ脇は手前にある小さな岩を足場として使わずに、3人が待っている岩にひとっ飛びで来た。
「綾香すごいじゃん!」
「まあこんくらいはチョロいって」
ニセ脇がドヤ顔で答える。
4人はしばらくした後、戻ることにした。
「そろそろ戻って片づけんとね…」
西脇が岩から川原へ戻ろうとした瞬間だった。
「キャア!」
ドボーン!
西脇が足を滑らせて川に落ちた。
「あ〜ちゃん大丈夫?ここはそんなに深くないみたいだし」
樫野が西脇を見つめながら話す。
この川の水深は確かにそれほど深くはない。
「ゴボゴボ…たす…けて…」
「…そうだ!昨日の大雨で川が増水したんだ…!」
大本がそう発言した瞬間、樫野とともに顔が青ざめた。
前日は確かにかなりの量の雨が降っていた。今日晴れたことが奇跡に近いくらいだ。
おまけに西脇は酒に酔っている。彼女はそれほど酒に強くはないため余計に身動きが取りづらい。
「待っててあ〜ちゃん!今からあたしが助けるからね!」
「だめよのっち!お酒が入ってる状態で飛び込むのは危険じゃ!」
樫野は飛び込もうとしている大本を止めた。
「待て。あっしが助ける」
慌てている2人の横にニセ脇が現れた。
「そんなことやったら綾香が危ないよ!」
樫野はニセ脇も止めようとした。
「大丈夫。あっしは正確には人間じゃないから」
そう言い残してニセ脇は川に飛び込んだ。
「あたしたちは川岸に戻ろう。ここにいたら危ない!」
大本の提案で2人は立っている岩から退くことにした。
つづく。
最終更新:2010年11月06日 14:27