Side K
私とのっちが誕生日を迎えて12歳
そして、もうすぐあ〜ちゃんも12歳になるそんなある日

『リニア』の『覚醒』が起きた

のっちが『覚醒』した
そして…

白く輝く姿は、まるで天使みたいで
本当に羽が生えて飛んでっちゃうんじゃないかってくらい、凄くキレイだった

のっちの中から溢れたエネルギーは、この場所に入るときにいつも着けるヘッドホンのような装置を伝って、エネルギーが蓄えれているそこへ流れていった

「のっち…」

無意識にした私の呼びかけに応えて、顔をこっちへ向けるのっち
その力強い視線に私の中の何かが動き出して、一気に体の外へと放出された

「おお!コレは…」
「この時代のリニアは、二人、か…」

透明な壁を隔てた向こうで、王様とヤスタカ様が話している

「これなら、少しは負担が減るか?」
「おそらく、そうなるでしょう」
「そうか…」

王は安心したように微笑んでくれていて
だけど、少し腑に落ちない顔をしているヤスタカ様
それが気なったけど…





「ゆかちゃん」
「?」
今度は私が呼ばれてのっちへ振り向くと、覚醒はしているけど、さっきとは違ういつもののっちがいた
「これで、ずっと一緒じゃね?」
「一緒?」

『覚醒』したのはのっちだから、この城に居られるのはのっちだけでしょ
そう思って私は自分の状況も把握できずに、のっちに聞き返した

「wゆかちゃん気付いとらんの?」
「何が?」
「ゆかちゃんも『覚醒』しとるよ?」
「へ?」

その言葉で自分の掌を見ると、のっちと同じように白く光っていた
そこでようやく自分が『覚醒』していることに気付いて、もう一度のっちの顔を見たら嬉しくてそのままのっちに抱きついた

だって、『リニア』は代々一人と聞いたから
どちらかが『覚醒』したら、一緒に居られなくなると思っていたから
これからも一緒にいられると分かったら、自然と体が動いていた

あ〜ちゃんにも知らされて、すぐにあ〜ちゃんは飛んできてくれた
部屋の外で迎えてくれたあ〜ちゃんは、扉が開くと同時に喜んで飛びついてきた

「二人ともリニアになったんねw凄いね!」

この時は、ただただ嬉しくて三人で喜んでいた

世界を支えるほどの力を持つ『リニア』の存在を、まだよく理解していなかったんだよね
そして、あの時のヤスタカ様の表情も、すっかり忘れていた


そして一ヵ月後
私達の『リニア』としての生活が始まった


—つづく—






最終更新:2010年11月06日 14:38