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「あ、あそこにコンビニあるよ!のっちぃ傘買わん?」
「そうだね!あ〜ちゃんと綾香ちゃんのも買おうよ」

樫野と大本は川原付近のコンビニで傘を4本購入した。

「結構橋まで遠いんね…」
「たしかに…向こう岸に行くまでこんなにかかるなんて…」

樫野と大本は川沿いの道を橋を目指して歩いていた。
一番近い橋までも結構な距離があった。

さらに雨は激しくなる。


「綾香!どうゆうことなん!?」
「わかった…全部話すよ…」

ニセ脇は重い口を開いた。

「実はあっしのようなあのクスリで作られた分身は、水を当て続けると消えてしまう仕組みになってんの」
「え…」
「さっき川に入り続けたから、あっしの体はもう消えるの。だから体の色が透明になってるんだよね」

ニセ脇の体の透明度が高くなる。
西脇は言葉を失う。

「も、もしかして綾香がお風呂に入るのを断ったのって…」
「ああ…その通り。風呂を浴びるとあっしの体が消えちゃうから」

ニセ脇がぶっきらぼうに答える。

「何でそれを先に言ってくれないん!お風呂断る時に言えばええじゃろ!」
「別にお前に関係ないだろ…」
「それを知っとったら綾香を川原へ連れてこんかったのに…!」




西脇の目から涙が溢れ出した。
激しい雨が振っているので、西脇の顔はすでに濡れている。

「うわーん!ごめん綾香ー!ぐずっ…。あ〜ちゃんが川に落ちなければ…綾香が消えることなんか…死ぬことなんかなかったのに…ぐずっ


「死ぬなんて大袈裟だな」
「ごめんね、本当にごめんね綾香…。あ〜ちゃんが綾香を殺してしもうた…」

西脇はニセ脇を抱きしめた。
ニセ脇の足の部分はもう全く見えていない。

「綾香の足が…綾香の足が…」
「ああ…もうあと…30秒も…いられないな…」

ニセ脇の声が途切れ途切れになっている。

「綾香行かないで!消えないで!死なないで!」
「そん…なに…泣くなよ…鼻水で…メイクが…ボロ…ボロ…だぞ…」
「綾香ー!綾香ー!」

ニセ脇の腕も見えなくなった。
残っているのは頭部だけだ。

「綾香…」
「もう…お別れ…だな…じゃあな…」
「待って綾香!」
「最後に…今まで…楽し…かったよ…あり…がとうな…あ〜ちゃ…」
「えっ…初めてあ〜ちゃんって呼んでくれた?」

ニセ脇は最後の言葉を吐くと、跡形もなくスーッと消えていった。
ニセ脇が着ていた服が全て地面へペタリと落ち、激しい雨がそれを打ちつけていた。

「綾香ー!うわ〜ん…!」

西脇はその服を全て拾い上げて抱きしめて泣いた。

「あ、あ〜ちゃんいたいた。遅くなってごめんね。橋が意外と遠くてね…」
「はい、これはあ〜ちゃんの傘」

大本と樫野がやってきた。
樫野が西脇に傘を渡す。

「あれ?あ〜ちゃんどうしたの?なんで泣いてるの?」
「そういえば綾香ちゃんの姿が見えんけど…」
「ねえ…あ〜ちゃん何があったん…?」

西脇は雨に打たれながら泣くばかりであった。

第3章【化身】完

エピローグへ続く







最終更新:2010年11月06日 14:40