ニセ脇が消え去ってから数ヶ月が経った。
季節は冬になりクリスマスが近づいていた。
「今年も3人でクリスマス会やろう!」
「場所はあ〜ちゃんちだね」
「のっちは去年みたいなことにならんように気をつけんさい」
「去年あたしなにやったっけ?」
「全裸になって踊り出したじゃろーが!」
「あはは…そんなことあったね…」
あれから3人の前にあの商人が現れることもなく、平和に仲良く過ごしている。
一風変わった日常があのときに訪れたが、3人の絆は変わらないままだ。
樫野と大本が商人と出会っていたことは本人以外知らないままである。
そのままがいいだろう。
◆
ここはとある空港。
黒装束を身に纏った怪しげな女がいた。
言うまでも無く、西脇らにクスリを売った女商人である。
実はこの商人は、中国やインドを拠点に置く、とある製造会社の社員である。
その会社は中国の気功術や、インドの伝統ある超能力を利用して例の特殊な品物を作り出していた。
彼女は最近新しくできた日本支部の社員であった。
プロトタイプの製品を日本の路上で配り、営業活動を行っていた。
つまりあのクスリが数百万円かかるというのも嘘であり、ただの営業トークである。プロトタイプなのでもちろん無料だ。
(樫野らからアクセサリーと交換していた理由はよくわからないが…)
3人の前に現れた意味は特になく、ただの偶然であった。
たまたま客として現れた人間の中にが樫野、大本、西脇がいたのである。
女商人は大学時代にモデルとして活動していたこともあり、長身でスタイルもいい。
顔は黒装束で隠れているが、端正な顔立ちをしている。
本社に用事が出来たため、中国へ飛行機で向かおうとしている。
そのために空港にいるのだ。
『まもなく出発時刻となります』
「そろそろ行かないとな」
女商人はアナウンスが流れると、ベンチから立ち上がり搭乗ゲートに向かっていった。
立ち上がると同時に一枚の紙切れを床に落とした。
その紙切れは彼女の名刺であった。
名刺には次のように記載されていた。
『株式会社○○○ 日本支部営業部販売課 徳澤直子』
mysterious merchant〜謎の商人〜 完
最終更新:2010年11月06日 14:42