Side A
ゆかちゃんとのっちが『覚醒』して『リニア』になった
ヤスタカは『リニア』は一人だって言っていたけど
「ヤスタカの夢見が外れたのって初めてじゃね?」
「あぁ、、そうだな」
「なんでそんな浮かない顔しとるん?」
「いや、別に」
「もしかして、外れたのがショックなん?」
「いや、それはむしろ嬉しい事だ」
「じゃあ、どうしたん?」
「アヤカ様、言葉遣い、、」
「え、あwごめんなさい」
ついつい嬉しくて、話しやすい言葉遣いになってしまう
「アヤカ様は、あの二人と仲が良いですよね」
「うんw二人とも大好き!」
「そうですか…」
「だから、さっきからどうしたの?」
「これからあの二人は、エネルギーを生み出す為に、あの部屋に篭ることになる。そうなれば、アヤカ様は二人とも会えなくなる」
「え?篭るって一日ずっと?」
「そう。24時間365日。あの部屋から出ることはまずない」
「うそ、なんで?」
「アヤカ様は、この世界がなぜ正常に機能できているか、知っていますよね」
「リニアのエネルギーでしょ?」
「そう、、。世界を動かすほどのリニアの力。どれほど強力か、計らずともわかるでしょう」
「…そうだけど」
「皆と一緒にいるのは、危険だ。あの部屋ならば、いざという時でも危険は最小限ですむ」
「いざという時?」
「本人の意思とは関係なく、その力が暴走するかもしれない。そういう時だ」
「暴走…」
「そんなことはないと思うが、何かあってからでは遅い」
「そっか…」
「、、すまないな。せっかく仲の良い友が出来たというのに」
「ん〜んw仕方ないよ。それに、二人の様子くらいなら、映像で見れるんじゃろ?」
「あぁ、もちろん、あの部屋にカメラをセットしておく」
「うん、ありがとう」
ヤスタカは言葉どおり、リニアの部屋にカメラを入れてくれて、しかもお互いに会話できるようにって私の部屋にもカメラを入れてくれた
でも、日中は二人ともダンスに集中しなくちゃいけないから、繋がるのは夜だけ
それでも毎日ほんの少しだけど、顔が見れて声も聞けて、二人が頑張っている姿から自分も頑張ろうって、元気をもらっていた
何事もなく順調にいっていると思っていた
けど、違っていた
少しずつ、ゆかちゃんの『リニア』としての力は弱くなっていた
きっとゆかちゃんは悩んでいたはずなのに…
毎日話していたのに、私は気付いてあげられなかった
ヤスタカが教えてくれて、私は初めて知った
もしかしたらゆかちゃんが『リニア』じゃなくなるかもしれないって
やっぱり『リニア』は、独り、、なのかな
—つづく—
最終更新:2010年11月06日 14:53