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ひりひり、ひりひり。
じんじん、じんじん。
なんだよ、くそ。
また、はじまった。



[ヤケド]



「うわぁっち!あっ、つー、、」


“慣れない手つきで料理なんかするからぁ”


あーぁ。そうだよ。その通り。
何年か前に付き合った子は、たいして好きじゃなかった。
ただなんとなく、一緒にいたらそんな雰囲気になっただけで。
たった一度だけ招いた部屋。
かっこつけて料理なんかするから怪我するんだ。


ひりひり、ひりひり。
右腕にかかったお湯は、あっつくて。
じんじん、じんじん。
痛くて痛くて、泣きそうになった。



「…またかよー」


一人嘆いて、換気扇に吸い込まれる。
馬鹿だな。
もうしない、って決めたはずなのに。
調子がいいにもほどがある。
もうしない、って。料理だって、



ピンポーン





「のっちんち久しぶりだわー」


たまには遊びにいこっかな。なんて。
まったく気まぐれで困る。
のっちにだって予定あるんだ。
迷惑なんだよ。
なのに。
なのに、なんで。
浮かれて料理なんか、し始めたんだろ?
かしゆかが、来るって、わかった途端。


もうしない、って、思ってたのに。
料理だって、、恋、だって。







考えてみれば思い当たる節もあるけど。
でもだからといって、簡単に認めたくないし。
でもなぁ、、


「ちょっ、と!のっち、なんこれ?ヤケド?だいじょぶ?」


急にのっちの腕をとるから、
急にのっちの距離をつめるから、
急にのっちの身体に触れるから。


ひりひり、ひりひり。
身体の奥が、ぎゅーっと熱い。
じんじん、じんじん。
胸の奥が、ぎゅーっと痛い。




「…だ、いじょぶじゃ、ない、かも、、」


いくら水で冷やしても。
いくら薬を塗りたくっても。
ひりひり、ひりひり。
やっばいな、これ。
じんじん、じんじん。
完璧ヤケドだ。跡、残る。


「まったくぅ。おっちょこちょいだなぁのっちは。」


急に優しい顔で笑うから、
急にのっちを子供扱いするから、
急に甘い声をだすから。




あ、かしゆかに、ヤケドした




ひりひり、ひりひり。
じんじん、じんじん。
なんだよ、くそ。
治る気が、しないよ。




end





最終更新:2010年11月06日 15:01