Side K
『リニア』になって3ヶ月が過ぎたくらいから、私に変化が起こってきた
最初は、『覚醒』していられる時間に斑が出始めて、次に時間が確実に短くなりだした
この時は、原因がよく分からなくて、、
ただ、このままじゃのっちと離れてしまうという思いと、あ〜ちゃんとも離れてしまう
その事実だけが、刻々と迫っている気がして嫌だった
そんなある日
ヤスタカ様に話があるからと呼び出され、いつもなら透明な壁越しに話してくるんだけど、この日はその外に出る事になった
外に出なくても、生活全般が行えるように整えられていたから、そこから出るのは、5ヶ月ぶりだった
「あの、お話って?」
「ああ、、キミには、この世界より大切なものがあるか?」
「え?」
急に突拍子もないことを聞かれた私は、なんて答えて良いのか分からずに固まってしまった
「あぁ、、すまない。今のは忘れてくれ」
「はぃ、、」
よく分からないまま、この時は頷いたけど
数ヵ月後に、その言葉の意味を理解する
ヤスタカ様の話というのは、私の『リニア』としての力が弱くなっていることから、近いうちに『リニア』ではなくなってしまうだろうといことを話されて…
ずっと必死に自分を誤魔化してきたけど、やっぱり限界だったんだよね…
そうなれば、ずっとこの部屋にいる訳にはいかないし、本来なら自宅に帰ることになるんだけど
王と王妃は、私たちがあ〜ちゃんと仲が良いことをご存知だったみたいで
ご親切にも、私が望むならあ〜ちゃんの身の回りの世話を頼みたいって、言って下さっていて
だからその言葉に甘えて、このお城に居させて貰うことにした
両親もお城で仕えられるなんて光栄なことだからって、許しを出してくたみたい
「それにしても…」
「?」
「彼女の力は、凄まじいな。ココに居ても空気が震えるのが分かる」
ヤスタカ様はそう言って、一人で踊っているのっちをしばらく見ていた
「…ずっとここにから出られずに、辛くは、なかったか?」
また急に質問されて、でもその答えは簡単に出てきたんだ
「はいwのっちと一緒だったし。それに、毎日あ〜ちゃ、、アヤカ様の顔も見れましたからw」
私がそう答えたときのヤスタカ様の顔は、今でも忘れないな
私の答えが予想外だったのか、あんなキョトンとした顔、後にも先にも見たことないから
その日の夜
いつものようにあ〜ちゃんと三人で話して、その後、今日ヤスタカ様と話したことをのっちに伝えた
そしたらギュッて抱きしめてくれたのっち
「ゆかちゃんの『覚醒』が短くなってきて、もしかしたらって思っとったんけど。『リニア』じゃなくなっても、このお城にいられるんじゃね?」
「うん」
「ゆかちゃん、めっちゃ不安だったじゃろ?『リニア』じゃなくなったらって、、。のっちどうしたらええんか分からんし…。何て言ったらええのかも分からんくて…。なんも出来んでごめんね?」
「そんなことないけぇ…。それに、のっちの方が怖かったんじゃないん?」
「へ?」
抱きしめてた腕が緩んで、私の顔を見るのっち
「だって…」
もちろん、二人と離れたくないという気持ちも事実だけど
それ以上に、のっちが凄く淋しがり屋なのをよく知っていたから
だから、のっち一人になったら、きっと淋しいんじゃないかって思って
出来るだけそういう思いをしてほしくなかったから…
なんて言ったら「平気だよ」って、強がっちゃって、、
「のっちは頑張るって決めたけぇ。『リニア』として、しっかり踊って皆のために頑張ろうってw」
その言葉に、少しだけのっちは大人になったのかな?なんて思って
ニッて笑うのっちに、少しだけ淋しさを感じて…
だから寝る時、久々にのっちのベットに潜り込んで、二人で一緒に眠った
そして翌月…
私は『リニア』としての役目がなくなり、半年間のっちと過ごしたその部屋から、出る事になった
あ〜ちゃんと一緒にのっちと話す時間は、のっちと一緒に居た時を考えればほんの少しだけど、のっちの姿が見れるだけでホッとした
のっちは、一人で大丈夫かな?
—つづく—
最終更新:2010年11月06日 15:09