『もらうよ』
こうでも言わないと動き出さない臆病者。
優しいだけの臆病者。
いつもずっと、平行の上に立ってる臆病者。
窓の外、打ち付ける雨が私の足を部屋の中へと閉じこめた。
こんな日は、寂しがってるんじゃないか、なんて思うけど遠いし。
それに、その役目はもう自分じゃなくていいんだから。
「ゆかちゃんが、いるもん、ね、」
言い聞かせるように呟いた独り言は、雨音に掻き消されて、消えた。
別に寂しくなんかないし、のっちは友達であって、それ以上の気持ちなんてないし。
特に会いたい理由も見つからないし、見つかったとしても雨、だしね。
背中を押してあげないと。
きっかけを作ってあげないと。
いつもそうやって上から構えて。のっちのことを手の平に置いて。
そんな感覚が楽しかっただけ。ただ、それだけ。
でも、やっぱり、
ちょっとだけ、寂しいのは、
雨が、雨が、降ってて、会いに行けないから?
窓の外はどしゃ降りに変わる。
こんな空じゃ余計に、
余計、会いたい理由が見つからないよ。
あーぁ。二人に会いたい、な。
情けない着信音が響いて、慌てて通話ボタンを押した。
溢れんばかりに聞こえてきた声は。
「あやかぁー暇なら遊びこいよー一緒にご飯たべよー、ってか作ってー」
「あ〜ちゃんあ〜ちゃん!あ〜ちゃんの好きなアメリカンチェリーあるけぇ、食べよー」
「あ、ビール買ってきて、」
「ちょっとのっち!雨降ってるんだから、」
「わ、わかった!わかった!わかったから!」
「ちょっと待っときんさい」
私は部屋を飛び出した。
雨でもどしゃ降りでも関係ないんよ。
私は傘を、持っているんだから。
end
最終更新:2010年11月06日 15:29