やばい。
おたふく風邪で1週間休んだら、もう浦島太郎状態。
クラスはすでに仲良しグループが作られてた。
しかもほとんど知らない人ばっかり。
唯一知り合いの中田くんはサボりで来てないし。
なんで始業式始まる前日におたふく風邪なんてかかっちゃったんだろ。
最悪だ。元々人付き合いが苦手なのに、さらにハードルが上がっちゃったじゃん。
そんな教室に入れなくてあたしは渋々職員室に向かった。
「あっ!のっち!もう平気なん?」
「はい」
あたしをのっちと親しみやすく呼ぶのは担任のあ〜ちゃん先生。
出入り口でウロウロしてたあたしに気付いて出てきてくれた。
「水ぼうそう、大変じゃったね〜」
「・・・水ぼうそうじゃなくて、おたふく風邪です」
「あっそうだったけwま、どっちでもいいけぇwこれ、のっちが休んでた時にみんなに配ってたプリント」
「あっ。すいません。ありがとうございます」
「どう?うちのクラスでやっていけそう?」
「はぁ・・・。どうでしょう、、、」
「ホンマ、のっちといい中田くんといいきみたちは手が掛かる子たちじゃねw」
「中田くんも全然来てないんですか?」
「初日にフラっと来ただけよwのっちからもなんか言ってやってよ」
「あー、中田くんは自分が興味あるものしか動きませんからねw」
あ〜ちゃんは一年の時から何かとあたしのコトを気に掛けてくれてる。
それはきっとあたしが落ちこぼれ生徒だからだと思うけど。
でも生徒に人気者のあ〜ちゃんに気に掛けてもらえるのは悪い気はしない。
むしろ特別てゆーか、ちょっと優越感?
三年もあ〜ちゃんが担任でよかった。
「あやちゃん!!」
気付いたら黒髪ロングの前髪パッツンの子があたしたちのそばにいた。
その子はなぜかあ〜ちゃんのことをあやちゃんと呼んでる。
「あっ。ゆかちゃん。おはよう」
「おはよう。もう、なにしとん。ホームルーム始まる時間でしょ?」
「うそ!予鈴鳴ったん?」
「なったよ〜。しっかりしてよぉ。担任なんだからw」
あたしの存在を無視して、その子はあ〜ちゃんと楽しそうに喋ってる。
その子の顔を見ると見覚えがあった。
一年の頃からよくあ〜ちゃんのそばにいた子だ。
となりのクラスだったのに、なんであ〜ちゃんと一緒にいるのか謎だったんだよな。
同じクラスの男子が可愛い可愛いって噂してたから覚えてた。
「あっそうだ。のっち!あんた、ゆかちゃんと友達になりんさい!」
「「え!?」」
「せっかく同じクラスになったんじゃけぇwゆかちゃん、のっちのことよろしくねw」
ゆかちゃんと呼ばれた子はチラっとあたしを見た。
一瞬目が合ったけどすぐそらされた。
「・・・もう、しょうがないな〜。わかったけぇ」
「のっち!よかったねwこれでもう大丈夫じゃけぇ。ゆかちゃんは良い子だから、きっと仲良くなるわ」
「はぁ・・・」
なんかあたしの意見を聞かずにポンポン話が進んでってる気が・・・。
「じゃあ、今日からあなたたちは友達ねw」
あ〜ちゃんはあたしたちの肩をポンポン叩いて満足げな顔をしてる。
一年の時から思ってたけど、あ〜ちゃんってちょっと強引なところあるよね。
「先、教室戻っとって。先生もすぐ行くから」
そう言ってあ〜ちゃんは一旦職員室に帰ってった。
「あ、あたし・・・大本彩乃です。よろしく、ね」
あたしはとりあえず自己紹介した。
「樫野有香」
樫野さんはすんごいぶっきら棒な言い方でちょっと怖かった。
次に樫野さんは人さし指であたしを指してこう言った。
「”のっち”でしょ?」
「へ?」
「あんた、一年ときから有名だもんね」
「え?ゆ、有名?」
そんな事初めて知ったよ。あたしって有名なの?二年間知らなかったよ。
「男子からも女子からもモテる子って。でもいっつもあの中田ヤスタカといる変わり者」
「えぇ・・・?」
「みんな知っとるよ」
「みんな?」
「ゆか、友達になんてならないから」
「え?」
「あんたと友達になんてならないから!」
捨て台詞を吐いて樫野さんはあたしを置いてひとり教室に帰っていった。
なんだあれ。
感じ悪。
なんであんなに敵意むき出しなんだよ。
あたしなんか悪いことした?
うわ・・・やだ。ちょっとヘコむ。
「こっちだって、友達なんてならないよ・・・」
あたしは小さく呟くでしか抵抗が出来なかった。
最終更新:2010年11月06日 15:41