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『おはよう。昨日はコピーありがとう』

あたしはこの言葉を樫野さんに伝えるため、何度も頭の中で繰り返してる。

それを言うため、いつもより20分も早く起きた。
教室に入って自分の席に座る。
樫野さんはもう登校してて、仲のいい子たちと楽しそうにおしゃべりしてる。
あたしがいるの気づいてないみたい。
なんか寂しい。

あたしもあたしでその中に入る勇気は持ってないし。
鞄に入れてたipodを取り出して、あたしは一人の世界に入ることにした。

「・・・ぇ」
「ねぇ!」
樫野さんに机を軽く叩かれた。

あたしはビックリしてイヤホンを外した。
「音漏れうるさい」
「あ・・・ごめん」
急いでipodの電源を落とした。

「あ、あのさ!」
「ん?」
あたしは樫野さんが前に向く前に声を掛けた。

「昨日はコピーありがとう」
言えた!

「あぁ。別にいいのに」
樫野さんは実にそっけない態度。

それからお昼まで樫野さんとしゃべることはなかった。
なんとなく気分が暗くなった。
今日は昨日よりも楽しくなると思ったのに。
なんでだろ。
他の子が樫野さんとしゃべってるのが羨ましくてしょうがなかった。





「ねぇ!」
ふて寝してたら、また樫野さんに声を掛けられた。

「あんた、お昼は?」
「え?」
「お昼食べないの?」
「・・・食べるけど」
「お弁当?」
「てゆーか、コンビニのパン」
「ふーん。じゃ、ここでいっか」
「え?」
樫野さんは自分の机を持ち上げて、あたしの机にくっつけた。

「え!?」
あたしはその行動にビックリした。
「なに?ゆかと一緒に食べるの嫌なの?」
「い、嫌じゃないよ。むしろ、嬉しい」
「なら驚くことないじゃない」

樫野さんのお昼もパンだった。
同じでなんか嬉しかった。

「他の子と食べなくていいの?」
「だって、あやちゃんに頼まれたんだもん」
「え?」
「あんたがひとりでお昼食べてるから、一緒に食べてほしいってさ」
「あぁ・・・」
「あんた、中田ヤスタカ以外に話し相手いないの?」
「い、いません」
「なんでよ。つくりなよ。バカじゃないの」
最後の一言は余計だよね。

「あまり、人付き合いが得意じゃないから・・・」
「ふーん・・・。ったく、しょうがないなー」
「え?」

「最初にあやちゃんにお願いされたし、いーよ」
「へ?なにが?」
「なにが?・・・じゃねーよ。友達になってあげる!」
「え!?」
非常に上から目線だけど、なんだか嬉しく感じる。

「ありがとう。樫野さんw」
「樫野さんって、なんか堅苦しくない?」
「え。じゃあ、なんて呼べば?」
「みんなと一緒でかしゆかでいいよ」

うー、みんなと一緒はなんか嫌だな。

「ゆかちゃん・・・は、ダメ?」
「それだけはダメ」
「な、なんで?」
「なんででも!」
えー、なんでそんなにムキになってんの?

「じゃあ、かっしーは?樫野だから、かっしーw」
「なにそれ?ネッシーみたいじゃん」
「えー、いいじゃん。かわいいじゃん。決めた。これから、かっしーって呼ぶねw」
「あんたねー勝手に決めないでよ」
「いいじゃん、いいじゃん。それと、あたしのこともちゃんと”のっち”って呼んで?」
「・・・わかったわよ、のっち!!」
「えへへ」

樫野さんと友達になった。
わっしょーい。嬉しい。嬉しい。

中田くんに知らせなきゃ。






最終更新:2010年11月06日 15:49