「…てゆーか、街はどこよ!?」
新居から車を走らせること20分。街、らしきものが、ない。
あー。東京帰りたいー。
メグさんが待つあの部屋に戻りたいよー。
プルルルー
おかけになった電話はー
淋しくなって電話をしてみても、一向に繋がらないし。
何してんのよもうー。
ってか、街!!スーパーのひとつくらいないんかい!
車を40分ほど走らせたところで、小さな商店街を見つけた。人もいる。
ゆかは車を路肩に停めて歩いていった。
「あった。街」
呟いて、ゆかはほっとする。
どうやらちゃんと人は住んでるし、店もある。
食べることに困ることはないみたいだ。
お肉屋さんに寄って、薬局に寄って。
魚屋さんに寄って、八百屋にも寄って。
一回で住ませたいよー。めんどくさいよー。
例えばもし今隣に、メグさんがいたら、
「やだー!お魚と目が合っちゃったーん」
とか言いながら、ワイワイキャッキャッして楽しかったはず、、、
……ってやめやめ!
どうせあの人はこんな田舎街には絶対ついてこない。
the東京!みたいにお洒落だし、自由だし。
まぁそもそも。あの人にこの街は似合わないけど。
でも。それでもやっぱり。
ゆかは一緒にいたかったよ。
親切な八百屋のおじさんが家までの帰り道を教えてくれた。帰りは20分もかからなかった。
…え?なにそれ。どうやらゆかはグルグルまわっていたらしい。田舎道、よくわかんない。
帰り道、スタンドあったよね?ガソリン入れなきゃ。明日から会社まで車通勤だし。
こっちの支社、どんなだろ?
恐い人とかいるのかな?そうだったら、嫌だな。
スタンド、あとは会社よりもっと遠くにしかないって言ってたな。仕事終わりに入れにいくか。
「…樫野有香です。」
……っておい。若い人は、いないわけ?
どうやらこの街に住む若者は、大半が都会に出て行ったらしい。
それもそうだ。ゆかならとっくに出てるもん。
新しい職場は、馴染めるとか馴染めないじゃなくて、、
なんてゆーの?親戚んち来ましたー!みたいな。アットホーム感。
どーしよう。ゆか、結構苦手だわー。
「ガソリン入れるなら早くしないと人、いなくなるよ?」
隣の席の青井さんは、他に比べりゃちょっと若いけど。
滑舌悪いし、姿勢悪いし。いい人なんだけど、ときめかない。
いや、まぁね?メグさんいるからそーゆうの必要ないのわかってるけどー。
でも、ま、女子、としましては…。
ってガソリン!人いなくなるスタンドって何?意味わかんないし!
「あ!あそこらへんちょっと危ないから気をつけてねー!」
…。
いやいや!帰り際に怖いこと言うなって、青井!
最終更新:2010年11月06日 15:56