水曜日の一時間目の体育は、かっしーはいつも欠席。
遅刻魔のあたしでさえ、朝一という非常に忙しく、かつ着替えがめんどくさい体育に出ているというのに。
かっしーはいつも涼しい顔して二時間目の数学の前の準備時間に教室に入ってくる。
ほら。
今日もそうだ。
バスケをして汗だくになったあたしを横目に、ひとりでレモンティーなんて飲みやがって。
あたしにも一口わけてくれよ。
「ねぇ、いっつもこの時間の体育出ないじゃん。どして?」
「んー。そうだっけ?」
あっ。はぐらかされた。
「水曜だけ寝坊する変な癖でもあんの?」
「そうそう。水曜だけめざましが壊れるんよw」
それ嘘でしょ。
そんな目覚まし時計ありえないっしょ。
「どっか寄り道でもしてんの?」
「そうそう。近所の野良猫に餌やってると遅くなっちゃうんだよねw」
「それ嘘でしょ。ほんとは、なにしてんの?」
「・・・関係ない」
「え?」
「もう、、、のっちには関係ないことじゃろ。いちいち聞かないでよ」
そりゃ、あたしには関係ないけどさ。
だって知りたいしゃん。
あれ?
なんで知りたいんだ?
「・・・で、それで俺に相談ってこと?」
「うん!」
めずらしくお昼まで学校にいる中田くんをとっ捕まえて、むりやり話を聞かせた。
「あたしさ、最近・・・てか、さ。かっしーと友達になってからおかしいんだよね」
「大本さんがおかしいのは今に始まったことじゃねーだろ?」
「・・・中田くん、真剣にあたしの相談のってよ!」
「ハイハイ・・・。で、どうおかしいんだよ?」
「なんかね、かっしーといるととにかく楽しいのw家でかっしーのこと思い出すとニヤニヤしちゃうの!」
「そんで、たまに目が合うとドキっとするとか?」
「そうそうw」
「顔が近くなるともっとドキドキするとか?」
「そうそう!」
「大本さん・・・」
「ん?」
「それは、恋だ」
「鯉?」
「そっちのコイじゃなくて、、、、恋愛の恋だよ!お前は恋わずらいだ!」
「・・・・・・・・うぅえぇぇぇぇ!!??」
「反応遅せー。てか、うるせー」
嫌味ったらしく耳をふさぐ中田くんの隣でパニくるあたし。
え。
えっ!?
えぇぇ!!??
恋?
あたしが?
かっしーに?
そんなこと考えてもみなかったよ。
「でもさ、あたしもかっしーも女子なんだけど・・・」
「そうだね」
「それって、変じゃね?」
「大本さんが変なのは今に始まったことじゃないから俺は別に気にしないよw」
「気にしなくていいの?」
「いいんじゃね?そういうの合法で認められてる国もあるんだし」
「そうなんだ。中田くんって物知りだねw」
「大本さんが知らなさすぎるだけだろ」
「なんか、原因がわかってスッキリしたw中田くんに相談してよかったよ」
「どういたしまして」
「ねぇ」
「ん?」
「もしさ、もしも、中田くんがさ、友達に告白されたらどうする?」
「どうするって・・・。そん時になってみないとわかんねーよ」
「・・・普通は拒絶するよね」
「フツウって、なんだよ?」
「え?」
「フツウって、その人の基準によって変わるもんだろ。だから、そんなん気にすんなよ」
いつも、あたしの話を右から左に聞き流す中田くんだけど今日は違った。
ちゃんと聞いてくれて、彼なりにあたしを励ましてくれた。
ちょっと感動。
中田くんは3年に一回くらいこういうことしてくれるから好きだ。
放課後。
クラスのみんなが全員教室からいなくなるまで、あたしはかっしーを無理やりそこに留めてた。
「なに?ゆか、これから部活行かなくちゃいけないんだけど・・・」
ちょっとご機嫌ななめになっちゃったけどしょうがない。
「かっしー・・・実は話があるんだけど」
「だからなによ?早くして」
「あたしね・・・かっしーのことが好きなんだ」
チラっとかっしーを見ると、パッツン前髪が邪魔で表情が読み取れない。
「その、、、友達としての好きじゃなく・・・」
「うん」
「あの・・・なんて言ったらいいか、わかんなくなっちゃったけど、、、」
「ごめん。ゆかも好きな人がいるから・・・」
「・・・そっか」
人生初告白は開始30秒で撃沈。
かっしーも好きな人いたんだ。
そりゃいるよね。
そこまで考えてみなかった。
この前あたしのこと一緒にいて楽な関係って言ってくれたから、ひょっとしてって思った自分が恥ずかしい。
「あぁ・・・。ごめん。てか、いきなり告られてビックリしたよね」
「うん。ビックリした」
「だよね〜。しかも、友達にだもんね〜。引いたよね・・・」
「別に引かないよ」
嘘だ〜。
「のっちはすごいなって思った」
「は?」
「ちゃんと相手に向かい合って自分の気持ち伝えたじゃろ?」
「あぁ・・・」
「しかも同じ女子にさ。それってめっちゃ勇気いることだもん」
振られたのに今のかっしーを見ると、告白する前よりも好きになっちゃったよ。
かっしーも、もしかして一筋縄じゃいかない人を好きなのかな?
「のっちの気持ちに応えてあげられんくて、ごめん」
「・・・ねぇ、かっしー」
「ん?」
「・・・友達のままでいいから、今までどおりに一緒にいていい?」
甲高い可愛い声で「うん」と言ってくれたかっしー。
少しだけあたしの心が救われた気がした。
最終更新:2010年11月06日 16:01