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水曜日。
またかっしーは体育に来てない。
困ったちゃんだな。

あたしは来ないかっしーに気をとられてて、自分にパスが回ってきたのを気付かなかった。
ボコっと鈍い音が体育館に響いた。
バスケットボールでつき指。
地味に痛い。てか、かなり痛い。

あたしは湿布を貰いに保健室に向かった。
保健の先生に処置してもらって戻る時、ふと窓から空を見上げた。

なんともいい天気。
もうすぐ梅雨明け。
夏が来る。

視界に別館の旧校舎。
そこの校舎は特別教室しかない、あまり生徒が出入りしない場所。
三階の図書室に人影が見えた。
その図書室は古くてカビ臭いから一般生徒はほとんど利用しない。

そんな場所に人影だからちょっと気になって観察してみようと思った。

え。

カーテンの間から見えた人影は、かっしーだった。
あの黒髪ロングの前髪パッツンは彼女しかいないよ。

あたしは体育館に戻らなきゃいけないのに、足は図書室に向かっていた。

ガラっと勢いよく扉を開ける。
窓側に座ってたかっしーはそれに気付いてビックリしてる。

「のっち、、、」
かっしーは、非常に気まずい顔。
逆にあたしはしたり顔。

「やっと見つけた〜!毎週ここにいたんだ!!」
あたしはしたり顔のままでかっしーに近付く。
かっしーは手に持ってた漫画本を急いで鞄に仕舞いこんだ。

「な、なんでここがわかったん?」
「んんー?たまたまボケッと空見てたら、人影が見えてさw」
「あぁ・・・」




あれ?浮かない返事。
かっしーはあたしにばれたのが嫌だったのかな。

「それどうしたの?」
あたしの左指の湿布に気付いたみたい。

「ボール取り損ねてつき指したw」
「もうなにしてんの?ダメじゃん」
「だって、かっしーのこと考えてたんだもんw」
「はっ!?」

あたしはかっしーに告白してから、彼女に対しての気持ちを自然に口に出すようになった。
別にわざとってわけじゃないけど、緊張感が切れたのかすんごくオープンになった。

「早く戻りなよ」
「かっしーも一緒にバスケやろうよ。みんなで団子になって楽しいよw」
「やらん。暑いし。シッシ」

わっ。
人を犬みたいに手で払いやがって。

もう、なんでこんなカビ臭い図書室にかっしーはいるんだ?
水曜の一時間目になんかあんの?

「あ!もしかして誰かと待ち合わせ?」
「はぁ?」
「そうでしょ?だから毎週いないんだ!」
「ちょっとちょっと勝手に話進めないでよ」
「えっ?違うの?」
「違うよ!」
「じゃあなんでよ!」
「のっちには関係ないことじゃん。もうほっといてよ」

かっしーは答えに行き詰るといっつも『のっちには関係ない』って言う。
関係あるよ。
だって好きな人がなにしてるか気になるじゃん。

「それとも窓からなんか見えるの?」
あたしはかっしーが座ってた椅子の上に膝立ちして、窓の外を覗こうとしたら。
「なんも見えない!!」
って、かっしーに腕を思いっきり引っ張られて椅子から降ろされた。

「もう、のっち。しつこい」
ブスっと口をとんがらがすかっしー。

「じゃー体育出てよ」
「わかったわよ」
「さっき読んでた漫画ってなに?」
「ジョジョ」
「じょじょ?なにそれ?おもしろいの?」
「教えない」
「えー、なんでよ〜」
「のっちにはわからんよ。ジョジョの世界は」
「それってバカにしてんの?」
「ノーコメント」

かっしーは夏服の短いスカートをヒラヒラとさせながら図書室を後にした。






最終更新:2010年11月06日 16:04