水曜日の朝。
あたしは体育に出ずに図書室へと向かった。
あたしの予想が合っているのか知りたかったから。
まだかっしーは来てない。
この前かっしーが座っていた椅子に座って外を眺める。
あぁ、やっぱり。
予想通りだった。
「のっち?・・・なんでいんのよ」
遅れてきたかっしーがあたしを見てまた嫌そうな顔をしてる。
「かっしーの好きな人って・・・あ〜ちゃん?」
「・・・そうだよ」
あっさり肯定されてしまった。
予想していたけど、実際に口に出されて言われてしまうと結構クる。
「毎週ここからあ〜ちゃん見てたの?」
そこからは向かいの教室であ〜ちゃんが授業している姿が丸見えだった。
「そうだよ」
「あ〜ちゃんはお兄さんの婚約者じゃん」
「そうだよ」
「無理じゃん。どう考えたって無理じゃん」
「知ってるよ」
「なのに好きなの?」
「そうだよ」
「あ〜ちゃんの一番にはなれないんだよ?」
「のっちに言われなくても知ってるよ。ゆかはいつも二番だもん」
かっしーの声は怖いくらい冷静で落ち着いていた。
「あたしじゃダメなの?あ〜ちゃんのかわりでもいいよ」
「あやちゃんのかわりなんていないし。いたとしてもいらない」
パッツン前髪から覗く瞳にはきっとあたしなんか写ってなくて、そこにはあ〜ちゃんしかいないんだ。
「ゆかはあやちゃんがいいの。あやちゃんだったら二番でもかまわない」
「なんでそこまであ〜ちゃんにこだわるのさ」
「あやちゃんはゆかのすべてだから」
「あたしのすべてはゆかちゃんだよ」
「下の名前で呼ばないでって言ったじゃん・・・」
「あ〜ちゃんだけに”ゆかちゃん”って呼ばれたいから?自分だけ特別って思われたいから?」
「そうだよ。・・・わかってるなら呼ばないでよ」
「嫌だよ。あたしもゆかちゃんのこと特別だもん。あたしはゆかちゃんが一番だもん」
「のっちが一番でも、ゆかは違うもん。のっちはゆかの中で一番じゃないもん」
「一番じゃなくても二番でも何番でもいいよ!」
「そんなこと言わないでよ・・・」
「なんでよ!」
「自分見てるみたいで惨めんなる、、、」
ゆかちゃんは図書室を出ようとし、あたしに背を向けた。
惨めってなんだよ。
意味わかんないよ。
「ゆかちゃん」
あたしは引き止めるために、ゆかちゃんの腕を掴んだ。
「なんでゆかなん?」
「え?」
「のっちモテるんだから他の子でいいじゃん。ゆかじゃなくてもいいじゃん」
そのセリフ、ゆかちゃんにそのまんま返してあげるよ。
「ゆかちゃんもなんでわざわざお兄さんの婚約者なの?あ〜ちゃんじゃなくてもいいじゃん。あたしでいいじゃん!」
「最初に好きになったのはゆかだもん!」
キって鋭く睨まれた。
「お兄ちゃんが横取りしたんだもん!」
「え」
「ゆかが好きになったのは”あやちゃん”だもん。”お兄ちゃんの婚約者”じゃないもん!」
ゆかちゃんはあたしの手を振り払って出て行ってしまった。
目には薄っすらと涙がみえたような気がした。
図書室にひとり残されてしまった。
外を見ると、あ〜ちゃんが楽しそうに授業を進めてる。
自分、なにやってんだ?
好きな人、挑発して怒らせて挙句には泣かせて。
こりゃ最低だ。
嫌われたわ。
完璧に嫌われたわ。
何が一番だよ。
こんなんじゃ、二番でも無理だって。
圏外だよ。圏外。
もう繋がらないですよって感じ。
終わった。
あたしの恋は終わったね。確実に。
てか、友達としても終わったよね。
あーあ。
またひとりぼっち生活に逆戻りか・・・。
切ないな・・・。
中田くん助けてよ。
最終更新:2010年11月06日 16:09