Side A
父が亡くなったことで、この国の王権を受け継いだあたし
それと一緒に受け継ぐ『証』
父が所有していた時はシャクの形をしていた『証』

王にふさわしい者が触れることで、その形を変えるもので
まだ13歳という不安をもちつつ、恐る恐る触れたのを、今でも憶えている

あたしが触れると、『証』はその形を変え、花を模った髪飾りに変化し
それでようやくあたしは、王権を正式に授かった

そして、、
それからのあたしは、両親を失った悲しみに浸る時間もなく
のっちのことも気になっていたけど、覚えなくてはいけないことが多くて…
せっかく『証』の力で、リニアの部屋を出入りできる権限を有しているのに、時間がとれずに、のっちと顔を合わせることが出来なかった

ゆかちゃんは、変わらず私の身の回りの世話をしてくれて
一日の責務を終えて、私が部屋に戻ってくるのが遅くなっても、いつでも待っててくれて
それだけで、どんなに嬉しかったか…





「あ〜ちゃん、お疲れ様」

あ〜ちゃん、て呼ばれると安心する
女王になってからは、周りからは『陛下』と呼ばれるようになったから

「うん、ゆかちゃんも毎日ありがとね?」
「ヒヒwこんくらいしかゆかに出来ることないけぇ」

少し照れながらふにゃって笑うその笑顔も安心する

「あ、今日のっちは?」
「ぅん、、あ〜ちゃん頑張っとるけぇ、自分も頑張るぅ!言うて、ハリキっとった」
「そっかw」

ゆかちゃんからのっちの話を聞くのが日課で
のっちと同じように、頑張ってるのっちから、あたしも力を貰っていた

ずっとのっちと会えなくて、心配ではあったけど
ついゆかちゃんの言葉に安心してしまって、のっちは大丈夫って勝手に思って、リニアの部屋に行くのを後回しにしてしまったのは、間違いだった

もっと早く
のっちの所に、行くべきだったんだ


—つづく—





最終更新:2010年11月06日 16:10