知らないフリも、出来ないから


ブルーマンデー、エスケープ
02:breathe


今日は比較的早く教室に着くことが出来た。

……とは言ってもあ〜ちゃんからの説教が学校着くなり絶賛ノンストップ中だけど。

ゆかちゃんに助けてって目線を頑張って送ったものの、気付かないフリしてんのか知らないけどあからさまに違う友達と話し始めちゃったから
まぁ、こんなの毎日のことだけどね。


でも、なんだかんだであ〜ちゃんはのっちのこと思ってくれて言ってくれてるのかなーってのっちは勝手に思ってる
もうね、最近実はあ〜ちゃんはのっちのこと大好きで仕方がないんでしょとか思うんよ
だってさだってさ、毎日毎日のっちのこと説教する人なんかおらんしゆかちゃんなんか逆に呆れちゃって知らん顔だしさ、そう思ってしまうのは仕方がない、
え?自意識過剰?なにそれ、知りません。



「……っち!のっち!!ちゃんと聞いとるん?!」
「お、おう、聞いとりますっ」

「…なんでそこ噛むん?ていうかさっきからニヤニヤしてて気持ち悪いんじゃけど」


サーッと一歩引いた目でのっちを見るあ〜ちゃん。
いやいやそんな哀れんだ目でのっちを見ないでおくれ、のっちがまるで変な子みたいじゃないかい


なんとか反論しようとしているとあれほどまでにのっちが熱い視線を投げ掛けていたのにも関わらず、ことごとく無視しやがったあのパッツン小悪魔がやってきた


「あ〜ちゃん、もうHRの時間じゃけぇ、のっちも反省しとるしそのくらいにしとかんと」
「でも…」
「あーやーちゃん?」

「わ…分かったけぇ、その呼び方恥ずかしいじゃろもぉ〜」


顔を真っ赤にしながらぺしぺしとゆかちゃんの腕を叩いてるあやちゃんという人にちょっぴり萌えてしまいましたよ、もう1人のあやちゃんは♪


「……のっちキモい」


あーまたしても哀れんだ目で見るのか、あやちゃんとゆかちゃんは
なんだいなんだい、二人して。


「ていうか、1限目体育だけど2人とも着替えなくていいん?」

ふとゆかちゃんをよく見てみれば素敵な素敵な体操服姿。
てかいつの間に着替えたんよ。

「そうじゃった!早く着替えないと!」

あ〜ちゃんがバタバタと着替えの支度をし始めると同時にのっちも準備を始めようと思ったのですが。。。


ガサゴソ、ガサゴソ


あれれ、あれれのれ、、



「のっち、どうしたん?」

「・・・・・・ない。」

「何がよw」

「のっちの布。」

「はぁ?」


あのねゆかちゃん、なんだかのっちの布たちが見当たらないのです。
…ごめんなさい先に言うけどガサゴソとかやってたけど実はほとんど空っぽなのです、カバン。
そしてなんだか後ろから殺気がヒシヒシと伝わってくるのは何故でしょうか?
あー、やだ。走ってもないのに汗が止まらないよ、


「のーっちいいいいい!!!」

「ひょえええええ!!」


「あ、先生来た。」





結局、W”樫野”で体育の授業に出た訳ですけども。
どうしてゆかちゃんが2着体操服を持っていたのかはわかんないけど、ひとまず一件落着。
あのままだったら。。。考えるだけでも恐ろしいです。

今日は体育館でバスケの試合練習をすることになって、のっちとゆかちゃんが同じグループで、あ〜ちゃんは別のチーム。
あ〜ちゃんのチーム強い人ばっかりいるなぁ。のっちよりも大きい人いるし。

そんな訳で只今連勝中。
そのチームのみんなそうだけど、あ〜ちゃんもすごいやる気満々だからずーっと試合してる。

のっちのチームはというと・・・もう一人の樫野さんが異様にやる気がなくて
というか樫野さんだけじゃなく他の方々も。。。

のっちばっかり頑張ってて、必然的にのっち一人でボール持ってるから全員総出で狙って向かってくるし、パス出しても受け取ってくれるのはいいんだけど、ずっとのっちの方見てるのね、しかもゆかちゃん以外全員。
え?何?のっちになんかついてるの?それよりもゴール見よう?ね?

…という訳で負けっぱなしです。


そして今は試合の得点板をめくる係をしてます。
得点板を挟んだ隣にはゆかちゃん。

なんともまぁ涼しい顔ですこと。でも、ちょっぴりほっぺが赤い。


不規則に聞こえる上靴と床がキュッと擦れる音とドリブルの音がうるさいくらいに体育館に響いて
どうせだから呟いてみた。

「……手」

「…ん?」


普段は聞く耳持たないのに、聞いてほしくないときだけ返事をする。
すぐ声に出す自分も自分だけど。


「…朝、繋いどったじゃろ」

「…そうだっけ?」


目線の先には二人一緒。
フワフワのキラキラした子。


「嫉妬しとるん?」

「…別に。」


味方からパスをもらったその子は、一気にドリブルで駆け上がる


「あれ、のっちも手繋ぎたかった?」

「ち、違うしっ」


ドンドン加速して相手を抜き去って、綺麗なそのフォームでボールをゴールに向かって投げた


「……知っとるくせに」

「…二ヒヒッ」

「悪い小悪魔さーん」

「小悪魔に良いもなにもないじゃろ」


そのボールは美しい曲線を描いてリングに吸い込まれていった


「「 あ。 」」


のっちたちも吸い込まれていった、ふわふわできらきらなあの笑顔に。



END






最終更新:2010年11月06日 16:11