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「これで最後じゃね」
そう言ってあ〜ちゃんが取り出したのは線香花火。
火をつけるとパチパチ弾ける小さな花が綺麗だった。



仕事帰りに二人で寄ったコンビニに置いてあった、売れ残った花火たち。
夏の思い出に、なんて言って家の近くの公園であ〜ちゃんと二人、花火をする事にした。



「線香花火ってなんだか切ないね」
「そうじゃね。静かに終わっちゃうけぇ、そう思うのかも」
「でもゆか、線香花火好き。情緒あるし」
「うん、可愛いし」
あ〜ちゃんがそこまで言った時、線香花火が静かに役目を終えた。
「あー…終わっちゃった…」
「うん」
そしてあ〜ちゃんの唇も動くのを止めた。
「…あ〜ちゃん?」
「んー?」
後片付けをしながら問い掛けてみても、あ〜ちゃんは何故か伏し目がち。らしくない。
いつもなら、楽しくお喋りしながら時にふざけあいながら、後片付けだってするのに。

今日はなんだか、ううん、今のあ〜ちゃんはなんだか急に大人びて見えて。
それとも、こんな暗がりだからそう見えるだけ?
ゆかには分からない。

「ゆかちゃん」
落ち着いた声色で呼ばれる。不意に心が掴まれた気がした。
「な、なに?」
「ゆかちゃん」
「…あやちゃん?」
「ごめんね」

なんの事?どうしたの?

聞こうと思ったのに、それは叶わなくて。

「ゆかちゃんが好き」
触れる唇が熱い。吐息も、想いも。

「本当はずっとこうしたかったんよ」

「ゆかちゃんの事が好きなんよ」

吐き出される想いは、まるで散る間際の線香花火のようで。

「ゆかちゃんが好き」

ゆかはただ、ただ魅了されるしかなかった。





最終更新:2010年11月06日 16:21