Side N
独り、、だった
ヤスタカ様が様子を見に来てくれたり、夜は毎日じゃないけど、ゆかちゃんとも話をしてたけど
ダンスしてる間は良いけど、元々一人が苦手なあたしは、夜になると寂しくて寂しくてしょうがなかった
寂しさを感じれば感じるほどに、ゆかちゃんへの想いは、大きくなっていくし、、
だから、リニアの務めが終わった後も、『覚醒』するようになった
そうしないと、想いを止めることが出来なくなっていたから
誰にも打ち明けることが出来ない想いを、唯一、エネルギーを生み出すことで昇華しようとしてたのかもしれない
それが原因なんだと思うけど、あたしはどんどん痩せてしまって
すでにちょっと痩せたことで、あ〜ちゃんに心配させてしまっていたあたしは、同じように心配してくれたヤスタカ様やゆかちゃん、それとココの室長のタカシゲさんにも、あ〜ちゃんには言わないでってお願いした
だって、ただでさえ女王になったあ〜ちゃんは、新しく責務をこなしていくのが大変なのに、あたしのことで余計な気を遣わせちゃいけないから、、
あたしは大丈夫だから、まだ頑張れるから、、
でもそれって、ただの我慢でしかなかった
周りからの助けを、自分から避けてしまっていたんだ
そんなある日
夜中になって、あ〜ちゃんがやってきた
『覚醒』していて気付かなかったけど
「のっち!」
急に、ドンッて音と声がして、そっちを見ると
「のっち、もう夜じゃよ?夜は寝る時間じゃろ?じゃけぇ、、」
「ゆかちゃん…じゃなぃ」
せっかく来てくれたあ〜ちゃんに、そんなことを思ってしまった
でも、幸いなことに、あ〜ちゃんには届いてなかったみたいで、良かった
向こうで、二人の声が聞こえてる
しばらくするとタカシゲさんが、入り口を開けていて
リニアにしか許されていないこの中に、あ〜ちゃんが入ってきた
ココの出入り口が開いたのは、ゆかちゃんが出て行って以来だっけ、、?
あたしが覚醒しているから、相当の負荷があ〜ちゃんに掛かっているはず
それでも、あたしの方へと近づいてくるあ〜ちゃん
「のっち!」
また呼ばれて、あ〜ちゃんの方をみると
「あ〜ちゃん…」
右肩の下辺りが、赤く滲んでいた
「のっち、もういいけぇ。覚醒解きんさい!」
「、、ダメなんよ」
「なんでよ?」
覚醒を解いたら、ゆかちゃんのことを想って、寂しさに埋もれてしまうから
「世界を、想わんと…」
もっとちゃんと、自分の気持ちに向き合って、言葉にしてたら
こんな想い、しなくても良かったのかな?
「そんなんいいけぇ」
助けを差し伸べてくれるあ〜ちゃんに
「良くない!」
乱暴な感情をぶつける
それでも…
あ〜ちゃんの温もりが、あたしを包んだ
「あ〜、ちゃん…」
すごく、温かかった
人の温度って、こんなに安心するものだったっけ
「のっち、ごめん。ずっと、独りにして、ごめんね?」
「ぁ、ちゃ、、っ」
最後に人の肌に触れたのも、1年以上前だ
それもやっぱり、ゆかちゃんが出て行くときだったな、、
あまりにも久しぶりすぎて、もしかして夢かもって、確かめるようにあ〜ちゃんの背中に腕を回して、、
ちゃんとその感触と温かさが、現実だって教えてくれて、、
離れないようにギュッと抱きついた
あ〜ちゃんが、優しく撫でてくれて、寂しさでいっぱいだったあたしの心から、寂しさが薄れていった
いつの間にか『覚醒』も解けていて、あ〜ちゃんの温かさに安心して泣いていた
そして、次第に襲ってくる眠気…
あ〜ちゃんは、タカシゲさんと話した後
ヘッドフォンを外してくれて、あたしの手を引いてベットまで連れてきてくれて
あたしをベットに入れて、一緒にベットに入ってきた
「今日は、あ〜ちゃんココにいるけぇ、安心して寝んさい」
「ぇ、ええの?」
リニア以外がココにいるのは、結構大変らしいから
「良いに決まっとる」
「けど、あ〜ちゃん明日も忙しいじゃろ?」
やっと少し慣れてきたみたいだけど、しなくちゃいけないことはたくさんあるって、ヤスタカ様言ってたよ?
「そんなん、なんとかなるけぇw」
「部屋で寝た方が良いじゃろ?」
しっかり疲れはとってほしいけど
「今はのっちと居たいんよ…」
この時だけは、その優しさに甘えようと思った
だから、ちっちゃい声だったけど
「ありがとう」
そう言えた
「とにかく、今は寝んさい。また今度、ゆかちゃんと来るけぇ。そん時、話とかしよ?」
「…ぅん」
ゆかちゃんが来る
嬉しいけど、嬉しくない
だって、きっとゆかちゃんとは、こんな風に触れることは出来ないだろうから
代わりにぎゅっと、いつものぬいぐるみを抱きしめて、そっと目を閉じた
「おやすみ」
「ぅん、、」
ゆかちゃんは想い人から
温もりを、貰えてるかな…
Side K
ずっと、知っていた
のっちが無理して、あ〜ちゃんに心配させないようにしてるの
女王になってから、忙しい日々を送っていたあ〜ちゃんは
のっちと顔を合わせることすら出来ずにいた
だから、どんどん痩せていくのっちの姿を見ていなくて、、
でものっちは、絶対にあ〜ちゃんには内緒にしてって、、
それでも、何度かあ〜ちゃんに言おうとしたの
けど、遅くまでがんばって部屋に戻ってくるあ〜ちゃんに、やっぱりそれ以上の負担を掛けることは出来なくて…
結局、言えずに時は過ぎて
そんな中、あ〜ちゃんが一緒にのっちの所に行こうって言ってくれて
のっちを見たあ〜ちゃんは、どう思うのか、、
のっちの状況は、私が思っていた以上に深刻だったんだね
多分もっとあ〜ちゃんに、自分たちの気持ち伝えても良かったんだよね
だって『証』が認めたあ〜ちゃんは、女王になれるくらいの、強い心を持っていたんだから
—つづく—
最終更新:2010年11月06日 17:11