Side N
朝、あ〜ちゃんの声で目が覚めて
「あ〜ちゃん、今日はもう行かんといけんけぇ」
「うん、、」
「明日、ゆかちゃんと来るけぇ。待っとりんさいな?」
ようやく、その顔のキズに気付いて、指先でそっと撫でた
「あ〜ちゃん、ごめんね?ケガ、させちゃった」
「平気じゃよ。すぐ消えるけぇ」
「痛かったじゃろ?」
「ふふwちょっとだけね?」
そう言いながら笑ってくれるから、あたしも笑った
Side A
リニアの部屋から戻ったら、ヤスタカがあたしの部屋にいてビックリした
「お、おはよぅ」
「…」
なんだかヤスタカ怒ってるみたいで、入り口にいたあたしの前まで来て
「おはよう、じゃありません。陛下」
戒めるような口調で、あたし何かしたっけ?って戸惑った
「や、でも、今、朝だし」
「そうではなくて…」
「ん??」
「どうして、タカシゲが止めたにも関わらず、あの中に入ったのですか」
「あ、それは、、」
タカシゲから報告がいっていたみたい
「こんなケガまでして、、『証』があったからこの程度ですんでいるが、、陛下になにかあったら、どうするつもりですか?」
ヤスタカの掌が、今朝ののっちみたいに頬に触れた
「だって、のっちのこと助けたいって、必死で、、どうしてものっちの側に行かないといけないと思って、、」
あたしには、昨日ののっちを、あのまま一人になんて、とても出来なかったから
「…解っています」
「え?」
「解って、いますよ、、」
「?」
「大切な友を放っておくことが出来ない、あなただから、、私は…」
そこで、ヤスタカの言葉は途切れた
どうしたのかと思って、ヤスタカを呼ぶと、スッと手を引っ込めて
「ぃや、、」
ぃや、って、途中ですごい気になるでしょ?
「私は、なに?」
「イヤ、だから…私は、陛下に付いていくと、決めたんです」
突然、何を言うのかと思ったら
「wそれって、ずっとあたしに仕えてくれるってこと?」
「はい、もちろん」
「ふふwありがとうw」
「一生、、、お仕えします」
見たことのない表情で言うから
「、、あり、がとぅ」
戸惑った
なぜかこの時、さっきまでヤスタカが触れていた頬が、少しだけ温かくなった
「ですから、陛下に何かあっては、困る」
「そ、そっか」
「それに、陛下の父上と母君に合わせる顔がなくなります」
「そう、じゃねw」
「それでは、王の間でお待ちしています」
「ん、分かった。食事を済ませたら、すぐに行く」
「はい、承知しました」
この日は、そんなに難しい内容もなくて、早く部屋に戻ってこれて
ゆかちゃんのコト待ってようと、ベットに横になったら寝てしまって…
ゆかちゃんが来たことに気付かなかった
Side K
あ〜ちゃんの部屋に来ると、ベットに横になっているあ〜ちゃんをみつけた
あ〜ちゃんも大分慣れてきてるって、ヤスタカ様いってたからな、今日は早く終わったんだ
「あ〜ちゃん?」
リニアの部屋に繋げるから、あ〜ちゃんも一緒にと思って声を掛けたけど、返事はなくて
まぁ、慣れたといっても、やっぱり疲れてるだろうなと思って、頬にできたキズだけそっと撫でて、そのまま通信の電源を入れた
そしたら、待ちくたびれてしまったのか、のっちもカメラの前で寝てて
「のっち?」
こっちも返事はなし
もぅ、、なんて思ったけど、最近話をしててもあくびしてて、よく眠れてなかったみたいだから
少しだけ安心した
まだ、詳しく聞いていないけど、あ〜ちゃんのお陰かな
「明日、のっちに会いに行くけぇね」
眠っているのっちに話しかける
画面に見えるのっちの頭をそっと撫でて
「のっちぃ、、」
こういう時しか言えないから、、
「大好きだぁ…」
Side A
ゆかちゃんの気持ちを、知ってしまった
盗み聞きするつもりじゃなかった
画面の明かりに目が覚めて
聞こえてきたのが、ゆかちゃんの言葉だった
大好きな人を想う
一人の女の子の言葉
のっちに会いに行こうねって言った時、心配そうな顔したのも、、
三人で話してたとき、言葉が少なめになったのも、、
あの日、泣いていたのも、、
全部全部、、
そういうことだったんだ
—つづく—
最終更新:2010年11月06日 16:52