また一つ、季節を越えようとしていた頃だった。
のっちに会ったのは三日ぶりで
そんなに会わなかったのは、のっちと出会ってから、初めてで。
たった三日だよ?
今思えば、笑っちゃうけど
永遠にも思うほど、長い時間だった。
認めたくはなかったんだけど、、、
もうすでに、一緒にいることが当たり前だって
そんなふうに、思っていたんだね。
「ねぇ、なにしてたの?」
「ん?仕事だよ?」
「ほんとに、仕事やってたんだ」
「やってますよ〜」
あきれたように、眉がさがる。
だって、あんなに一緒にいてくれたら
いつ働いてんの?って思うじゃん。
「ね、なにしてんの?」
「へ?」
「だから、どんな仕事してんの?」
おかしなことに、このときまで
ゆかは、のっちがどんなことしてるか知らなかったんだ。
あぁ、、、、
そう一呼吸おくと
「音、、、創る仕事?」て。
「音?」
「うん」
「音楽ってのこと?」
「んー、音楽もたまにあるけど、、もっと身近な」
「身近?」
「そう。そだなぁ、、、例えば、、、
風の音。足音。
芽吹く音。鳥の鳴き声。
雑踏に行き交う様々な音、コエ。。。
なんか、そんなの。
て、言った。
羨ましい。
単純にそう思った。
そして
やっぱ“白”なんだ、と。
だから
「いいなぁ」って
そう、呟いた。
その時の、あなたの
どうしようもないくらい
困ったような笑顔。
今でも鮮明に覚えている。
その時は、なんでそんな顔するのか、わかんなかった。
けど、、、、
『ココロの声が、聴こえたから』
あの時の、コトバ。
きっと、あれが答えだったんでしょ?
のっちだって、痛みを抱えていたのに
あの頃のゆかは
そんなことに全然、気付きもしなかったんだ。
最終更新:2010年11月06日 17:06