9月1日。
夏休みが終わってもまだ夏の暑さは変わらない。
蒸し風呂のような体育館で校長先生のどうでもいいながーいお話を聞く。
始業式が終わり教室に戻ると、いつにも増して眠そうな顔のゆかちゃん。
「ゆかちゃん眠たそうだね?夜暑くて寝れなかった?」
「あんたのせいよ」
「へ?」
「あんたが夢に出てきたから寝れなくなっちゃったんですけど!!」
「あ、、、、。ごめんなさい」
「ゆかの夢に勝手に出てこないでよ!あんた最近、毎晩のように出てきてしょうがないんだけど!!」
「ご、ごめん・・・」
ゆかちゃんはプンスカと怒っちゃって、鞄を持って教室を出た。
「あっ!待ってよ。一緒に帰ろうよ」
あたしも鞄を手にして急いで後を追いかける。
「嫌じゃ!」
「な、なんで?いいじゃんよぉ」
「のっちと一緒にいると、また夢に出てきそうで嫌だから。ゆか、ひとりで帰る!」
「えぇぇぇ!?」
あれー?
これってなんだか振り出しに戻っちゃった感じ?
久々にこんなに拒絶されてしまったよ。
でもさ、夢に出てきたのはあたしのせいじゃないじゃん。
その理由で怒られるのってあまりにも理不尽だと思いませんか?
シュンと肩を落としてると、あ〜ちゃんに声を掛けられた。
「のっち?どしたん?まだ帰らんの?」
「カエリマス、、、」
「・・・ゆかちゃんとなんかあったん?」
「夢に出てくるなって怒られたんです」
「・・・それって、すごくない?」
「へ?」
なにがすごいんだか・・・。
こっちは結構ヘコんでるんだぞ。
「すごいすごい!」
「は?」
「いやーwやっぱりやれば出来る子じゃね。先生の目は間違ってなかったわ!」
あ〜ちゃんに背中をバシバシ叩かれて痛い。
「そう言えば先生もうすぐ結婚式ですよね?」
「うん。ウエディングドレスのために3kg痩せたんよw」
「3キロ!?すごいっすねw」
そう言われると春に比べると、あ〜ちゃんはほっそりして益々綺麗になっていた。
きっと本番は誰もがうっとりする花嫁さんになるんだろうな。
その姿を見るゆかちゃんはどんな気持ちになるんだろう。
自分がもしそんな立場だと思うと・・・。
切ないを通り越して、苦しいよ。
「先生・・・」
「ん?」
「しあわせになって、くださいね・・・」
「・・・うん」
あ〜ちゃんはあたしの頭を撫でて「のっちは優しい子じゃね」ってフワっと笑ってくれた。
優しくなんてないよ。
今は優しさよりも強さが欲しい。
ゆかちゃんを助けてあげられる強さが欲しいよ。
最終更新:2010年11月06日 17:07