はぁ、はぁ、、、、

ダメだ。久々すぎて、ちょっと、、、ヤバい、かも。。


…のっち、、助けて。


自然と、のっちに連絡をとっていた。

ずいぶんと、弱くなっちゃったな。
昔は、ひとりで、やり過ごせたのに・・・

けど、

それで、よかったんだよ、ね?



ゆかの雰囲気がいつもと違うから
のっちは、大慌てでやってきた。
うずくまるゆかを見つけて

「どしたん!?大丈夫?」て。

「うん・・」
「えっと、じゃ、とりあえず、のっちとこおいで?」


ごめん、少し遠いけど。

そう言って、ゆかを抱えるようにして。



のっちのうちは、とても静かなとこにあった。
寂しいくらい、静かなとこ。

「…こんな、はずれに住んでたん、だ?」
「あ、うん」

はい、、そう言って、あったかいミルクを出してくれた。

「不便じゃない?」
「まぁ、、、ね」


けど、静かなほうがいいんだ、、、て。


「それより、大丈夫?」
「…うん、だいぶ落ち着いた、ありがと」
「…なんか、あったの?」
「、、、うん、久々に、ヤな仕事、だったんだ」


今日の対象は、子どもだった。
まだまだ、幼い。病気だった、、て。
ねぇ、、、どうして?
なにもしなくても、奪われていく命が、ある。

今もまだ、母親の泣き声が、耳を離れない。




すると、のっちは

すっと、腕を伸ばして
やさしい手つきで、ゆかの耳を覆った。


「?」

しっ、黙って?
そう、大きな瞳で合図したかと思うと


ふわっ。



すごくやさしい、音に包まれた。

今まで聞いた、どんなオトよりも、やさしくて。


「・・・ね?」
「ん?」
「いま、の、、なに?」
「のっちが、今まで聴いた中で、一番やわらかでやさしいオト」
「・・・」
「…聴こえ、た?」
「…うん」
「うまく再現できたか、わかんないけどねぇ」


そんなことないよ。
なんて、実際はどんなのだったかなんて、ゆかにはわかんないけど
今のは、ゆかにとって、トクベツに響いた。


さっきまでの、もやもやが
どっかに吹き飛んでいった。

ココロがなんだかあったかい。


身動きできない、ゆかの目の前で

「あれ・・」
そう言って、のっちはソファに崩れていった。


「どうしたの!?」
「あぁ、、、久々に慣れないことしたから、ちょっと眩暈」
「はっ!?なにしてんの!?」
「えぇ、そこ怒られるとこ?」

じゃない。そうじゃないけど・・・

「かっしーの笑顔、見たかったから」


「…ぁりが、と・・・」

消え入りそうな声で、呟いた
恥ずかしがりなゆかの、初めて素直になったホンネ。





再び、のっちの両腕が伸びてきて

ん?また、かな?
なんて思っている、と


ちゅっ。


キスされた。


「…っ、ちょっ!なにすんの!?」
「え、キス?」
「いきなり!?」
「だって、していい?て聞いたら、ダメって言うっしょ?」
「当たり前じゃん!?」
「だから」


だから、、て!

初めてじゃないのに
パニックになるほど、焦ったゆか。


「ヤだった?」

ふるふると、首を振ることしかできなかった。


じゃ、も一回。

そう言って、また
唇と唇が重なった。



恥ずかしくて、視線を合わせられなくて。

けど、ちらっと盗み見した、あなたの笑顔は
最高に、幸せそうで
それだけで、ゆかは
もっともっと、幸せになれたんだ。


大好きな人の笑顔が、これほど幸せをくれるなんて。


ねぇ、ゆかは?

ちゃんと、幸せだって、伝えられたのかな?


うまく、笑えてた?


ずっと、確かめたかったこと。

けどもう、聞けない、こと。






最終更新:2010年11月06日 17:09