◆A-side◆
「よーしテスト始めるぞー」
そう言って賑やかな教室に先生が入って来た。うわー超懐かしい、中一の時の担任の先生だ。少し髪薄くなった?
皆は急いで見ていた教科書などをしまって席に着いた。テストのこの緊張感…気分が重くなるよ。
それより、気になったのは玄関での事。ちゃあぽんの下駄箱に入ってた二枚のラブレター。しかも友達が「今日は少ないね」って言ってた。お姉ちゃん聞いてないよ。
どうやらあ〜ちゃんの妹はのっちみたくモテモテらしい。ちょっとショック受けたよ。言ってよちゃあぽん。
そんなこんなで配られたテストを見る。懐かしい問題ばっかり。今は簡単に感じても、中学校の時は苦労してたなー。
よし、頑張ってみようかな。
ちゃあぽんが心配だなぁ。
◆C-side◆
のっちと別れて、あたしは有香ちゃんと教室に向かう。
「どう?あ〜ちゃんの体は」
「あっけなくバレちゃった、でもキス出来たよ!」
「そっかぁ」
有香ちゃんはそう呟く。なんだかつまらなそうに見えるのは気のせいかな?
「大丈夫!有香ちゃんから飴貰った事はバレてないからね!」
そう言って笑うと、有香ちゃんも小さく笑った。
「絶対に言っちゃダメだよ?」
「分かってるって」
これはあたし達だけの秘密なんだ。守るよ、あたし約束は絶対守るタイプだから。
◆N-side◆
午前の授業はダラダラと終わった。昼休みになって、のっちはゆかちゃん達がいるクラスに向かう。お弁当はあ〜ちゃんの手作りだ。朝一生懸命作ってくれたみたい。嬉し過ぎて泣きそう。食べるのがもったいない。
「のっちニヤけ過ぎ」
ゆかちゃんに言われた。
「だってさ、あ〜ちゃんの手作り愛妻弁当だよ?のっち嬉しくて嬉しくて…」
「あたしのもだよ」
む…そっか、ちゃあぽんもか。だけどちゃあぽんは家族だし。だからのっちは特別って事なんだよ。
お弁当は幸せな味がした。あ〜ちゃんがのっちの為に用意してくれるお弁当なら、腐った生肉でも食べちゃうんだろうな。
◆
気付けばあっという間に放課後になっていた。ゆかちゃんは生徒会の仕事があるらしく、ちゃあぽんと二人で帰る事になった。
「授業とか、大丈夫だった?」
「うん!運良く先生に当てられなかったし」
「そっか、」
「のっちも…お姉ちゃんが居ないからって浮気とかしてない?」
ちゃあぽんが笑いながら首をかしげる。
「す、する訳無いじゃろ!のっちは、その…あ〜ちゃん一筋じゃけぇ…」
自分で言って恥ずかしくなってうつむいた。
「のっち顔真っ赤〜可愛いね」
「う…からかわんでよ」
中学生にからかわれるなんて…のっち、どんだけなんよ。
「お姉ちゃんが…羨ましいな」
ちゃあぽんが何かを呟いた。だけどのっちの耳にはそれは届かなかった。
◆A-side◆
授業が終わって帰る途中、のっちからメールが来た。いつの間にちゃあぽんとメアド交換しとるんよ。相変わらず手の早い変態じゃ。
『お弁当すごく美味しかった。洗って夜に持って行きます。ありがとう。』
なんて簡潔なメールだ。なんかさ、恋人同士なんだから甘いラブメールみたいなのしてみたいよ。なんか憧れちゃう。
だけど、のっちらしくて良いと思う。あ〜ちゃんを想って打ってくれたってだけで幸せだ。
あ〜ちゃんは絵文字も顔文字も無いメールを何度も見つめた。そして、一緒に居られなかった寂しさからか、少し生意気な内容の返信を打つ。
『あ〜ちゃんがおらんと思って学校で浮気なんかしとらんじゃろうね?』
少し意地悪して真面目をアピールするために絵文字なんか一切無し。
しばらく経っても返事は返ってこなかった。まさか、なんて嫌な考えが頭をよぎる。
のっちに限って、浮気なんか、まさかね。絶対にのっちは裏切らない。この自信はどこから来るのか分からないけど、絶対だ。
だってもしのっちに裏切られたら、絶対に立ち直れない自信がある。だから信じてる。信じるしかないんだ、自分を守る為にも。
家の近くに来た頃、携帯が震えた。のっちからだ。
〜
5/28 16:21
From:のっち
題名:(No,Title)
本文:あ〜ちゃんだけだよ
〜
ねぇ、本当に安心して良いんだよね?本当に、本当にあ〜ちゃんだけだって。
「あーもう…アホ…」
後で自分の携帯に送って保護しよ。こんな簡潔過ぎるメールに、何泣きそうになってるんだろう。
のっちのバカ。これ以上、好きにならせないでよね。
私は恐がってるだけなんだ。のっちを手放すのを、恐れているんだ。
だからこうやって、たまに目で見える鎖で繋がってる事を確認しなくちゃいけない。
お願いだから…裏切らないで、のっち…。
◆2-12:End◆
最終更新:2008年10月12日 21:46