Side K
のっちが、世界以上に何かを想っているとしたら
のっちもリニアじゃなくなっちゃう?

そしたら、この国は、世界は、どうなるの?



「それじゃあ、今日から僕の助手ってことで、ヨロシク」
「はぃ、宜しくお願いします」



のっちに会った翌日、初めて女王としてのあ〜ちゃんと対面した

「失礼します」
「ああ、来たな。急に呼び出してすまぬ」
「いえ、、」

王の間に入ると、いつものなまり全開の話し方でなく、しっかりとした言葉遣いと表情で
それに慣れていない私は、少し緊張したっけ、、

「今までずっと、私の世話係として仕えてくれて感謝している。父と母が亡くなった時にも、側にいてくれて本当に心強かった。ありがとう」
「いえ、とんでもありません。そのように言っていただけて、光栄です、、」
「それで、今回は頼みがあって、、」
「頼み?」
「そう、私の世話係ではなく、別のところで仕えてもらいたいのだ」
「え、、?」

正直そう言われて、ショックだった
だってまさか、のっちと離れてあ〜ちゃんとも離れちゃうなんて、思ってもみなかったから

「明日から、、」

ヤダな、、なんて視線を落したら

「リニアの部屋で、タカシゲの助手として仕えてもらいたい」
「え?」

またビックリして、落とした視線は一気にあ〜ちゃんへと戻った
そしたら、ニコって笑ったあ〜ちゃん

「ずっと、独りにさせとったけぇ。今度は、のっちの側におってあげて?」

ヤスタカ様も居たのに
そこだけは、いつものあ〜ちゃんで

「頼むぞ?」
「、、はい!」

きっと、先代の王のように、皆から愛される女王になってくれるって、確信した





「さっそく、今日から新しく追加された仕事なんだけど、やってくれるか?」
「それって難しくないですか?」
「ああ、もちろん」
「良かったw」

「内容は、その日一日のアヤノの様子をノート1ページにまとめて、夜に陛下に報告する」
「へ?」
「以上だ」
以上、、て
「、、それだけで良いんですか?」

「他にもあるけどw陛下もなるべく様子を見に来るようにすると仰っていたけど、毎日来られるわけじゃないし、だから、一番優先してしてほしい仕事だ」
「でも、それって私じゃなくても、、」
「他の人よりユカのほうが、アヤノのこと色々気付けるだろう?」
「まぁ、たぶん…」
「それに、世話係じゃなくなったとはいえ、陛下はキミと話したいと思っているしね」

新しい仕事を追加したのは、きっとあ〜ちゃん
あ〜ちゃんは、一昨日ののっちの言葉を、どんな風に受け取ったんだろう

「ゆかちゃん!」
「あ、のっち」
「今日から、ココでタカシゲさんの手伝いするんて?」
「うん、そうなんよ」
「めっちゃ嬉しいw」

最近にないくらい、嬉しそうなのっちの笑顔に
やっぱり、ずっと寂しかったんだなって

「これからは、毎日来るけぇ」

相変わらずの壁越しだけど、のっちの掌にそっと自分の想いを重ねてみた
伝わらない想いを、そっと…


のっちの、想いは?

『覚醒』出来なくなった私と反対に
『覚醒』の力になってしまうほどの、その想いは…

やっぱり、伝わらない?

伝えられない?


—つづく—






最終更新:2010年11月06日 17:32