Side A
二人の想いが伝わった
後は、あたしがその想いに応えるだけだ
以前にも増して、リニアについて調べる日々が増えて、、
大抵の事は、コンピューターにデータとして管理されているから、調べ物も簡単なんだけど
なぜか『リニア』に関しては、データが入っていない
だから、色んな書物を調べたリ、あと以前リニアの部屋で働いてくれていたミキコ先生にも話を聞いたりした
そしたら、父も同じような事を調べていたらしくて
だから、もしかしてと思って、父が残したデータも探してみたけど、結局見つからなくて
やっぱり、そう簡単には見つからないか…
ふぅ〜、、ヨシ!次々!
責務に支障をきたさないように、夜になってから調べ物をしていて
一度、あんまり遅くなりすぎて、ヤスタカに怒られたっけ…
しかも翌日、体調を崩してしまって…
昼間の勤め中は良かったんだけど、終わった頃にドッと疲れがでて
とりあえず部屋で休もうと思って、部屋に戻ったらゆかちゃんがいて
「なんでおるん?」
まだ、のっちの所に居る時間なのに
「昼間ヤスタカ様から、あ〜ちゃんの様子が変だから、部屋で待機しといてくれって言われたんよw」
「ヤスタカが?」
「うんw」
バレてないと思ってたけど、お見通しだったか…
はぁ〜、ヤスタカには敵わないな…
溜息を吐いたら、コツンとゆかちゃんのおでこが、あたしのおでこに当てられた
「やっぱりぃ、、」
「へ?」
「顔赤いと思ったら、あ〜ちゃん熱っぽい」
「そうなん?」
「ほうじゃよw着替えてベットに入っときんさいw」
「ぅん、分かった」
「ゆか、ヤスタカ様に報告してから、なんか食べもんとクスリ持ってくるけぇ」
「え、ヤスタカに報告するん?」
「あ〜ちゃん戻ってきたら教えてくれって、言われとるけぇ、、」
「そうなんじゃ…」
「なんか、言ってほしくなさそうじゃねw」
「、、だって、絶対怒られるもん…」
昨日の今日じゃ、なんて言われるか…
はぁー、気が重い…
「ヒヒw大丈夫じゃよ。ヤスタカ様は、あ〜ちゃんこと心配しとるだけじゃけぇ」
「そうかのぅ、、?」
「そうじゃよwじゃ、ゆか行ってくるけぇ」
「、、ぅん」
ベットで大人しく、ゆかちゃんが戻ってくるのを待っていたんだけど
体が温かくなってきたら、すぐに眠気が襲ってきて…
少しの間、眠ってしまった
「……か?」
「…?」
誰かに呼ばれてるみたいで、ふっと意識が目覚めた
「陛下…」
薄っすらとした意識の中、聞こえてきたのはゆかちゃんじゃなくて、ヤスタカの声
「大丈夫か?」
そう言っておでこに触れてきたヤスタカの手はひんやりして、気持ちよかった
「ぅん。平気」
そう答えると、小さく溜息をついて
「まったく、陛下には心配させられてばかりだ」
「怒っとらんの?」
「怒る?」
「、、うん」
「どうして?」
「だって、昨日も怒られた」
「…あぁ、アレか、、」
ふっと小さく笑うヤスタカ
「怒ったつもりではなかったのだが、、言葉が少し、キツクなっていたか?」
「…ぅん」
「すまない。ただ、あんなに遅くまでしてるなんて、驚いてしまって…。あんな言い方になってしまった」
ゆかちゃんが言うように、本当に心配してくれてただけなんだ
「今度から、あんまり遅くならないようにする、、」
「そうしてもらうと、助かります…」
「あ、クスリを持ってきたのだが、、」
「ぅん、ありがとう」
体を起こすと、トレーが掛け布団の上に置かれて、そこにクスリと一緒にお皿があって
「陛下の好きなイチゴも持ってきましたから、食べてください」
「わw可愛いw」
小さなイチゴが、たくさん入っていた
…
クスリも飲んで、また次第に眠気がやってくる
「ゆっくり、休んでください」
「ぅん」
「明日には、また元気な陛下の姿を見せて下さい」
「、、ぅん」
「それでは…」
そう言って側を離れようとするヤスタカの袖を掴んで、無意識に呼び止めてた
「どうした?」
「あの、、迷惑掛けて、すまぬ。それと、ありがと…」
「言っただろう?何があっても、陛下にお仕えすると…」
「そうじゃけど…」
きっと、、
「他に何か?」
「その、、」
「なんですか?」
あたしが言い難そうにしていると、そっと顔を覗き込んでくる
眠くて、ぼーっとしてたんだ、、
「たまにで、良いから、陛下じゃなくて、、前みたいに、呼んでくれんか?」
「『陛下』は、、嫌いか?」
「そぅいう訳じゃ、、ないけど…。ダメなら、別にいいけぇ…」
あたしはすぐに諦めて、もそもそと向きを変えて、ヤスタカに背を向けた
「そうですか…」
ヤスタカは、そのまま離れて、入り口のドアが開く音がした
「では、また明日、、」
「ん、お休み…」
ドアが閉まる前に
「アヤカ様…」
呼んでくれた
名前を呼ばれて、、
こんなに嬉しくなったのは、初めてだった
—つづく—
最終更新:2010年11月06日 17:52