「のっち、のっち!」
「…ん、」
「朝だよ?」
「んー…」
「ふふ、おはよ」
「んー…あ〜ちゃぁ、」
「なぁん?」
「んー…ちゅー」
「ふふ」




いたずらに笑って、その柔らかい身体がのっちの上に落っこちてきた。
ふわっとした髪がほっぺにあたって、
くすぐったいな、って目を閉じたら、
一瞬のあいだにキスが降ってきた。
のっちは腕を伸ばして、
眠くて開かない目を必死で開けて、
目で見て確認して、手で触れて確認して、
もう一度触れ合った唇が意識して、
それから、思い出すんだ。
脳みそが、ゆっくり動き出す感じ。
あ〜ちゃん。大好きな、のっちのあ〜ちゃん。


「おはよー」
「ふふ、のっち遅いよー」
「へへ、ごめん」


おはよ、なんて。全てを確認し終わった後なんだよ。
わかってないな。のっちのあ〜ちゃん。






「今日、帰り遅いの?」
「んー、ちょっと遅いかなー?」
「ご飯は?」
「んー?食べるよー」
「何がいい?」
「んー?あ〜ちゃん作ってくれるならなんでもいいよ」
「ふふ」
「へへ」



朝食を囲む四角いテーブルに肘ついて、
のっちが食べてる姿を見て嬉しそうに笑った。



「買い物、一緒にいこっか?」
「うん、そーだね!のっちに重いもの持ってもらわんと」
「はは、了解」
「あ!じゃぁ、あの店で待ち合わせね?コーヒー飲んで待ってる」
「んー、おっけー」
「何時くらい?」
「19時か、20時…んー、19時には行く!」
「大丈夫ー?」
「うん!早く終わらせるから!」
「ふふ、わかった、




『待ってる』




それじゃぁ、行ってくるー
あ〜ちゃぁんちゅー。
行ってきますのちゅ、





ジリリリリリリー




「んぁ…?」


ん?
は?
へ?




なぁーんだ。


また、ここで、終わり。

いつも、ここから、繰り返し。






最終更新:2010年11月06日 18:08