Side-n
さっとシャワーを浴びて出てくると
彼女は、ベッドの上
ちょこんと座って、窓の外を見上げてた。
部屋の明かりはついていなかったけれど
その月明かりで十分なほど
照らし出された、彼女の後姿は
ココロがキリキリ痛むほど、きれーだ。
「…寝てるのかと思ったのに」
「ん?…うん、、、月」
「うん」
「光が差し込んで、きれぃで、目が覚めちゃった」
そっと覗きこんで見上げたそれ、は
もうすぐ、満月の装いで。
「…抱きしめていい?」
「だぁめっ」
「なんで?」
「のっち、またシたくなっちゃうでしょ?」
「なんないよ」
「えぇ、なんないのぉ」
「どういうことwシたくなるほうがいいの?」
「んーん、今夜はもう、いい」
それでも、そっと抱きしめる。
「てかさ、なんか羽織らないと、風邪ひいちゃうよ?」
「もう大丈夫だよ。のっちのカラダ、あったかいから」
「じゃ、このままで」
「うん」
もう少しで満たされる、月。
あともう少し。
でもまだ、全然、足りない。
「もうすぐ、満月だね」
「うん」
「てか、お月見だよ」
「あ、そうなん?」
「そうだよっ!」
なんで、月が好きなのに知らないのって
独特の含み笑いが、とても心地いぃ。
「だって、別に、満月なんて、十五夜じゃなくても
また、繰り返されるし」
満月だから、いいってわけでも、ない。
「三日月でもね、新月でも、、雲に覆われて見えなくっても、いーんだ」
「そうなん?」
むしろ、満月でなくていい。
姿かたちは、刻々と変化し続ける。
定まらない。
見えなくもなる。
けど
ちゃんと、そこにあるから。
ちゃんと、そこにいるから。
「ずっと、ここに、いるから」
「なにそれ、意味わかんないw」
そう言って、カラダをあずけてくれる
キミがどうしようもなく、愛しい。
だから、さらに
ぎゅっと抱きしめて
「んー、、ずっと一緒だよってこと」
「…そっか、、ありがと」
うん
のっちはずっと
ゆかちゃんのそばにいたいんだ。
「明日も早いから、もう寝よっか」
「うん、、そだ、ね」
ありふれた毎日を繰り返そう。
きっと、のっちは
飽きもせず、何度も、キミを愛しく感じるんだ。
見えないけど、ね
ちゃんとここにあるよ
どうしようもないくらい
愛しい想いは、ちゃんとここにあるから。
だから
今夜も、それを少しでも刻み込みたくて
抱きしめあって眠るんだ。
最終更新:2010年11月07日 01:56