Side N
18歳になった、あたしたち

今も変わらずリニアとして仕え、毎日踊っている
ゆかちゃんもずっとこの部屋で、タカシゲさんの助手として仕え続けている

あ〜ちゃんはというと…
もちろん女王として立派に成長して、しょっちゅう街にも足を運んで、人々の様子を肌で感じているらしい
細かな気遣いが好評で、今じゃ先代より、民からの信頼は高いんじゃないかな?
そして、その誠実さから、他国からの信頼も厚い

状況は色々変化したけど、、

「二人とも元気しとる?」
「うん、毎日あ〜ちゃんの活躍見ながら元気しとるよ?w」
「活躍って、そんなんじゃないけぇw」

あ〜ちゃんは変わらず、この部屋に訪れてくれる

「でも、あ〜ちゃんが一生懸命してくれて、皆も感謝しとるよ?」
「そうじゃよ!みんな幸せそうじゃもんw」

この部屋でもあ〜ちゃんの活躍が見れないですか?って、ヤスタカ様に聞いたら、TVを用意してくれて、、
ココから出られないあたしにとっては、唯一、外の情報を映像で見られるアイテムになった
そのお陰で、あ〜ちゃんの活躍もバッチリ!見られるわけです

「幸せそう、、かぁ、、」

急に、小さく溜息を漏らしたあ〜ちゃん
どうしたのかと思って、ゆかちゃんと顔を見合わせると

「まだ、諦めてないから、、ね?」

へへwと苦笑気味にそう言って、じゃあまたって、部屋を出て行った

「…あ〜ちゃん、まだ、探してくれとるんかな?」
3年経った、今でも、、
「、、うん。毎日じゃないみたい、じゃけど…」
「そっか、、」

あたしもまだ、、

信じてる




Side A
二人に、幸せ?って聞いたら、きっと幸せだって、答えてくれるから…
その質問は、意味をなさない



はやく、、見つけなくては…

色々調べて知った事実
リニアの寿命は、普通の人よりも短い、、
代々のリニアたちは、20代という若さで、その生涯を終えている
それは、のっちも例外ではない…

はぁ、、

コンコン

椅子に凭れると、部屋をノックする音
「誰だ?」
「ヤスタカです」
「入れ」
「失礼します」

「どうした?」
今日は、ヤスタカが来る予定はなかったはずだが、、
「夢を、見ました」
「夢見、か?」
「はい、おそらく」

ヤスタカが見た夢、それはこれからを左右する
良いことなら良いのだけど、、

「その前に、アヤカ様はこのメロディーをご存知ですか?」

そう言って、昔父が弾いていたピアノに向うと、片手でメロディーを奏で始めた

「初めて聞くな、、」
だけど…
「そうですか」
「その曲がどうしたのだ?」
なんだか、懐かしい、、?

ピアノから顔を上げ、演奏も止め
「アヤカ様が歌っていたんです。歌詞、までは記憶にないが、、」
「私がか?」
「そう、そして、その歌に、、『証』が反応していた」
「『証』、、が」

「おそらく、『証』の力を“解放する歌”だ。先代の時にも、一度見ている」
「え?」
「しかし、歌詞のほうまで確認できずに、そのままだった」
「そう、なのか?」




もしも、『証』の力が使えるなら、、
いや、しかし…

「アヤカ様なら、もしかしてと思ったのですが…」
もう一度、同じメロディーを弾くヤスタカ
「すまぬ、な、、?」

と、突然頭の中に、いくつかのフレーズが飛び込んできて、軽く眩暈を感じて右手で頭を抱えた

「アヤカ様!大丈夫ですか!」
私の様子を心配して、すぐに側へ寄ってきてくれる
「大丈夫だ、、。ヤスタカ、もう一度さっきの曲、弾いてくれぬか」
「…分かりました」
まだ心配そうに側を離れて、ピアノを弾いてくれた

あぁ、、
どんどん、言葉が、、

それをメロディーに合わせて、小さな声で呟いていくと

「アヤカ様、『証』が…」
その言葉に、髪飾りを外してみると
「光ってる…」

もしかして、今の歌が…

“レリーズ”

父のノートに、題名のみが記されていた、、歌

そうだとしたら、、
すべては、揃った、、


あと、必要なのは、、


—つづく—






最終更新:2010年11月07日 02:10