私の家のドアを率先して開けるとゆかちゃんは「ありがとう」と言って、なんの遠慮もなしにあがりこんだ。私は彼女のこの遠慮のなさが好きだ。
片足になり靴を脱ごうとしている彼女を玄関のドアに無理やり押し付けた。
「・・・のっち」
私の名前を呟いた彼女の声音に拒否が見られない。私はそれに安堵して、ゆかちゃんに口付けた。さっき歩きながら食べたアイスの味。けれど、爽快なはずのバニラ味は今、ねっとりとした甘みをもって私の舌に絡み付いてくる。
突然の足音。こんな時間だと言うのに、誰かが私の部屋の前を通る音。
「やばい、どうしよう。ドキドキする」
ゆかちゃんが嬉しそうに言った。普通なら動揺するだろうこの状況も、小悪魔な彼女にとっては興奮の材料でしかない。そんな彼女が私にとっては興奮の対象だ。
「もっと、楽しませてあげるよ。舌出して」
ゆかちゃんがふふっ、と面白そうに笑って、いいよ、とでも言うように簡単に赤い舌を私の前にちらつかせた。私はもう一度その舌に吸い付き、口の中をもてあそぶ。
「いい子だね、ゆかちゃん」
「のっちの言うことならなんだって聞いてあげるよ。だからもっとゆかに色々言って?」
私は心底嬉しくなって自然にだらしない笑みを浮かべた。
ゆかちゃんもつられたように笑う。可愛い。どうにかなっちゃいそうだ。
「部屋、あがろうよ」
今日ののっちはゆかちゃんを時間をかけて味わいたい気分。ベッドが必須に思われた。
「いや。ゆか、こういう場所好きかもー・・・。狭くて、のっちが近い」
「まだのっち靴も脱いでないよ」
「・・・忘れたの?先にしてきたののっち」
図星をつかれて何も言えない。今日はお姫様の仰せのままに。
「ここで、いいの?」
「ここが、いいの」
わかった、と呟いて無邪気に雰囲気を楽しもうとしているゆかちゃんの服の中に手を入れた。
「ゆかちゃん、服、くわえてて。じゃま」
お姫様は文句ひとつ言わずに自分の服をくわえ、たくし上げる。下着があらわになって、玄関のライトに照らされた。
「下着、はずすよ」
ブラに手をかけても拒否反応ひとつ示さない。珍しく従順。いつもなら、やだやだとか、電気けしてーとかぶつぶつ言うのに。
「ずいぶん素直なんだね、今日」
言いながら胸に口付けた。頭の上の方で吐息がこぼれる。
「だって、のっち今日ずっとやらしいこと考えてた。ゆかのことどうしたいの?」
見透かされてる。だったら開き直るまでだ。見透かされているなら、隠す必要はない。
なんか今日ののっち超余裕じゃん!きっと、ゆかちゃんが私のしたいようにさせてくれているからだ。きっと彼女の気まぐれだけど、たまにはいい。
「ぐちゃぐちゃにしたい」
「できるならしてみんさい」
その挑戦的な瞳にのせられて、どうにかしてぎゃふんと言わせてやろうと思った。
胸をいじりながら、もう片方の手をスカートの中へ、そして下着の中へ入れる。
「・・・っ、のっち」
瞬間彼女の声が上ずった。無理もなかった。まだ触って少ししか経ってないのに、
指を入れようと思えば簡単にできそうなほど、濡れていた。
勝ち誇った瞳でゆかちゃんを見ると、
「ば、ばれた」
と、困ったように笑った。それがまた可愛くて、私はさらにいじめたくなってしまうんだ。
下着から手を抜くと、ゆかちゃんは不思議そうな顔をした。
その表情はあからさまに(のっち、いつもならがっついてくるのに・・・)な表情だったから、なんだか恥ずかしくなって危うく眉をハの字にするところだった。けれどそうなったらきっとゆかちゃんに馬鹿にされてこの雰囲気がどこかに行ってしまいそうだったから、なるべく余裕ぽい笑顔をうかべた。のっち演技派!
そして私は下着から抜いた指を彼女の前にかざした。
「舐めて、入れるから」
「む、むりだよ」
「なんでも言うこと聞いてくれるんだよね?」
「う、でも」
これ以上ゆかちゃんを困らせていいものか悩んでしまった自分が情けない。
仕方ないから私はゆかちゃんで濡れた指を自分の口へ運んだ。ゆかちゃんの味だ。
「あ、」
彼女に見せ付けるように舐めた。
「の、のっち、汚いよ」
「汚くないよ。これなら舐められるかな、ゆかちゃん」
彼女は戸惑いながら、私の手を両手で掴み口へ運ぶ。最初は彼女の好きなように舐めさせていたが、口の中で少し強引に指を動かしてみた。やわらかく、濡れた口の中の感覚がくせになりそうだった。口から指を抜き、もう片方の手でゆかちゃんの頭をなでる。
「よくできました」
もう一度下着の中に手を滑り込ませ、指を入れようとすると本当になんの抵抗もなく入ってしまう。だめだ、ゆかちゃんのこういうところすごく可愛い。
いつもなら痛くないかとか心配になって何度も何度も聞くのに、今日はその必要性が少しも見られないぞ。何も言わずに彼女の中で指を動かす。
それにしても立ったままというのは以外に体力が要る。ゆかちゃんはもう呼吸が荒くなってきている。
「のっち、のっち。立って、られん」
ゆかちゃんが可愛く呟くものだから、王子様なのっちはすぐにお姫様を支える。ゆかちゃんの腕が私の首にまわり、よりいっそう近く、空気が熱くなる。
私はそんなゆかちゃんに素直に欲情してしまい、声が聞きたくなって指の動きを早めた。
「あっ、のっ、ち。や、やだ、怖いよ、」
怖い、と口では言うものの、感じているのがあからさまだ。彼女はもう少しで達してしまう。ゆかちゃんの声が湿ってきて、顔は見えないけど多分泣いてる。本当に気持ちいいのか、怖いのかは私にはわかんない。でも、指の動きを止めるおりこうさんな理性ももうのっちにはない。
感じている声を聞きたいのに、泣きそうな声に胸が締め付けられる。二つの感情がせめぎあって、どうしようもなくて、私は愛撫を続けながら支えているはずのゆかちゃんに思い切り密着し、目を閉じた。ゆかちゃんの声しか聞こえない。
程なくしてゆかちゃんは、一際大きい声を出して達した。
「のっちの、あほ」
「へへえ」
「きもい笑いせんでよー」
玄関にへたり込んだゆかちゃんが私を小突く。
「王子様、靴脱がせて?」
ゆかちゃんの細い綺麗な足が、私の前に無造作に放り出される。私は彼女の前にしゃがみ、靴を脱がせた。
「これじゃあひつじさんだよ」
「執事さんでしょー、またのっち噛んだ」
「うへえ」
「笑い方っ!」
今度は座ったまま軽く蹴りを入れられる。ゆかちゃんはまだまだ元気である。うむう。
私が立ち上がり、ゆかちゃんの荷物を手に家へあがろうとすると引きとめられる。
見ると彼女は両手を大きく広げていた。
「荷物より、ゆかのこと運んで」
「りょーかいっ!」
私はまた、(ああ、結局犬みたいにしっぽ振っちゃうんだよなあ)とぼんやり考えた。ゆかちゃんの軽い身体を抱え、お姫様抱っこ。
「わ、のっち力持ちさんー」
ゆかちゃんが無邪気にはしゃぐ。私はそんな姿に胸がきゅんとなり、額に口付けた。
「お姫様、どこまで行きましょう?」
end
最終更新:2008年10月12日 21:59