Side A
「ヤスタカ、行こう」
「はい」
窓から見渡した景色を後に、これから私達は、リニアの部屋へ向う
「やはり、静かだな?」
「誰も、いないですから」
「まぁなw」
今日は、のっちの誕生日、、
と同時に、父の命日でもあり
この日は一日、この国の者たちは、それぞれの家で、父と母が亡くなったことを愁いてくれる
そんな中、、私は…
「二人とも、待たせてしまったな」
「ん〜ん?ちょうど、あ〜ちゃんのご両親の話してたから」
「ん、、ありがとう」
「あれ?そういえば、ヤスタカ様もいられるんですね?」
「ん?」
「当たり前だ」
「そういえば、、そうだな?」
なんでヤスタカ一人、残っているんだろう?
「私は、アヤカ様の側を離れるつもりは、ありませんよ」
最近よく、ヤスタカの言葉に、胸が痛くなる
ようやく理由も、解ったのにな、、
「あ〜、、」
「そういうことね?w」
顔を見合わせる、のっちとゆかちゃん
「え、なに?二人とも、、」
「ん?あ〜ちゃんは、鈍感な方?」
そりゃ、確かに、気付くのは遅かったけど、、
「…鈍感なのは、、ヤスタカじゃ…」
そう呟いたら、いつもみたいに、小さく笑うヤスタカ
「悪いが、やはり鈍感なのは、アヤカ様ですよ?」
「そんなことは、ない」
のっちもゆかちゃんも、さっきからニヤニヤして、、なんなの?
「、、それじゃあ、始めよう」
「「はい」」
いつもタカシゲが操作する機械を、ヤスタカが操作して
ずっと、のっちを一人にしていた、壁が、、なくなった
「のっち、、」
「ゆかちゃん、、」
向かい合う二人は、しばらく見つめ合って
ゆっくりと重ねられた、掌
やっと…
Side N
なんど伸ばしても、感じる事ができなかった、ゆかちゃんの、温もり
お互い確かめるように、絡めていく、指先、、
じわじわと、体中を行き巡る、、想い
この時を、どれだけ夢見たことか
溢れる想いで、ゆかちゃんを抱き寄せて、名前を呼ぶ
「ゆかちゃん」
「ぅん、、ココにおるよ?」
「、、温かい」
ゆかちゃんの温度
これがホントに幸せって、言うんだな、、
とても、幸せな時間だけど
本番は、これから…
Side K
「、、で、これから、どうすればええの?」
「のっちには、とにかく願ってほしいんよ」
「願う?」
「うん。この世界から、リニアをなくしたい、って、、」
リニアを、なくす
本当に、本当に
あのエネルギーを、解放する
「この、『証』の力だけでは、足りないから」
手に取った髪飾りを、ぎゅっと握るあ〜ちゃん
「『リニア』の力も、必要なんよ」
「リニアが『願い』。証が『実現』させる」
『願い』だけも、『実現』させる力だけでも、足りない
二つが揃って、初めて意味を持つ
二人の力…
「ゆかは?なにか、出来ること、ない?」
「あるに決まっとるじゃろ?のっちと一緒に、願って?ゆかちゃんの力も必要じゃけぇw」
少しの間でも、リニアとして仕えたこの力が
今ココで、必要とされている
「うん、分かったw」
差し出されるあ〜ちゃんの手
『証』が乗せられているそこに、のっちと一緒に手を重ねる
私たちが選んだ道
この道を、走り
進み、進み続ける
—つづく—
最終更新:2010年11月07日 02:32