Side A


戻って、、きた

のっちと、ゆかちゃん、、
三人でおでこを寄せ合って、肩を抱き合って
記憶の旅が、終わった…

ハッとして、周りを見渡したけど
彼の姿はなくて…

「ヤスタカさん、いなくなった、の?」
「うん」
「最後の力って、言うとったし」
「そっか、、」

あたしの意識は、アヤカさんとリンクしていたから
やっぱり、少しは情が移るもので、、
ちょっとだけ、、寂しかった

「今頃あ〜ちゃんとこで、仲良くやっとるじゃろ?」
「そうじゃねw」
「うん」

アヤカさん、随分待ってたんじゃない?

「ぁ、そういえば、二人は、、どっか行ったりしないん?」
「ん〜、どうしようかね?」
「折角じゃけぇ、あやちゃんとお話したいなー」
「あたしもしたいけどぉ、、ココにおると、さっきの光で、そのうちお父さん来ちゃうけぇ」
「あー、あの、タカシゲさん似の?w」

そうなの、あたしもビックリした
お父さん何気にリニアの血、受け継いでたんじゃんw
だから惹かれたのかな?この場所に、、

「ふふwうんwお父さんに見つかると、色々聞かれて、放してもらえんくなるよ?」
「そりゃまずいわw」
「折角の、二人の時間が減っちゃうし?」
「はははw」
「それもそうじゃけどw」

「この世界を、見て回りたいんよ。あたしたちが願った、世界を…」
「うん」

「時間が限られとるけぇ、ゴメンね?」
リニアじゃなくなっても、のっちの時間は変わらないんだ、、
「いえ、是非、見てほしいです。のっちと、ゆかちゃんと、あ〜ちゃんが選んでくれた、この世界を」

リニアのエネルギーはないけど
でも、みんな一生懸命、生きてる




「あ、その前に一つだけ。まだやってないことがあるけぇ」
「やってない、こと?」
「うんw」
「『リニア』以外で、今のエレクトロワールドに、ないもんがある」
「ないもの?」
「そうwそれを今から、この『証』にお願いするんよ」
「じゃけぇ、あやちゃん。もう一回、歌ってくれる?」

「、、うん、わかった」

二人が言う、この世界に足りないもの
なんだろう?

そんな気持ちで、さっき歌った歌を、歌う

二人の手の中で、また光りだす『証』
そして、部屋の中に小さな光の粒が現れて
『証』を持つ二人のもとへ集まる

「これで、ほんまに最後の力」
「この世界に、、」

『光』を…


『証』を掲げた瞬間
二人が見えなくなるほどの眩しい光が、勢い良く天井を突き抜けていく

その光に腕で顔を覆って、目を閉じた


数秒後、、

「あやちゃん!」
お父さんの慌てた声が、聞こえてきた
「あぁ、お父さん」
「こりゃ、いったい、、どうなっとるん?」

部屋の中には、光の粒子が瞬いていて

「ちゅうか!あの子らは!?」

いつの間にか、二人の姿もなくなっていた

「いきなりココの監視カメラの画面が、真っ白くなって、、。映らんくなって慌てて来たら、今度は外まで光が飛び出して行ったけぇ」

“空、見てみて?”

「空?」
「あ、あやちゃん?」
急に呟くあたしに、不思議そうな顔をして聞いてくる
でも…

「後で、ゆっくり話したげるけぇ、、」
「え、あ、ちょwあやちゃんw」
のっちの声に促されて、あたしは外へと出て行く




外に出ると、リニアの部屋と同じように、夜にも関わらず、世界が、輝いていた
まるで、光の雪みたいに、世界に降り注ぐ
その光が、落ちきって、見上げた“空”

「わぁ、、」
瑠璃色の空に、瞬く光

「星、かぁ。今まで雲に覆われとったけぇ、見えんかったんじゃが、、」
「めっちゃ、キレイじゃね」
「ああw」

今の世界に足りないものって、星のこと?

「星が見えるっちゅうことは、、もしかして、、」
「なん?」
腕時計を確認したお父さん
「もう少しすると、見えるかもしれん」
「じゃけぇ、なんが?」
「ん?ええもんじゃw」

相変わらず、もったいぶって教えてくれない
仕方ないから、お父さんと一緒に東の空を眺めていると…

次第に、オレンジ色に変わりはじめる、空

「お、キタキタw」
「お父さん、コレ、、」

記憶の旅をしていた時は、部屋の窓から毎日、見ていた
オレンジ色の空に、顔を覗かせた、『光』

「んん?あやちゃん知っとるか?」
「、、うん」

“太陽”
「太陽、じゃろ?」
“やっぱ、この世界には、コレがないとね?”

「ピンポーン♪よう分かったなぁ?」
「まぁ、ねw」


これから世界は、、
もっと、輝く


—つづく—





最終更新:2010年11月07日 02:38