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二人でお揃いのコーヒーを飲んで、たわいもない話をして、
ゆったりした時間が流れて、のんびりした口調で話す彼女に見とれて、
ゆっくりコーヒーカップに口つけた彼女の手首に違和感を感じた。


「あ、れ?」
「はい?」


私の視線に気づいたのか、彼女も目線をずらした。


「それって…?」
「あ、あぁ…」


とっさに右手で隠すようにしたその左手首にはっきり見えた


「…“A”?」
「あぁ…うん。」
「え?それって本物!?」
「あ、はい。本物。」


少し気まずそうに笑顔を作って、その文字を撫でた。
それは、すらっとしていて綺麗な顔で、格好よくて、少し可愛い彼女に合ったシンプルなタトゥー。


「なんで?」
「え?」
「なんで“A”なの?」


彼女の顔付きが変わったのにはすぐに気がついた。
だってゆか、すっごい見てるもん。大本さんのこと。
ちょっと掴めなくて、だけど繊細な人なんだろうな、なんて思ったりもしてた。
怒ってるとか、そうゆうのじゃないけど。ちょっと話かけるのが怖いっていうか。
そのくらい彼女は“ひとりぼっち”の顔をしている。
誰も寄せつけないような、孤独を背負ってる。



「…あ、や、、」
「え?何?」
「え?…あー、、」


そんな風に思ったのは気のせい、かな?
目の前の彼女は眉を垂らして情けなく笑ってる。
少し強張ってるような、泣いてるような、そんな風にも見えたけど。


「…あや、、、の」
「え?」
「あ、あやの、って言うんです。名前。大本彩乃」
「あ、だから“A”?」
「う、ん…そう、、。あや、の、の“A”」






最終更新:2010年11月07日 02:41