Side A
二人の想いを知って
リニアじゃなかったら、二人も我慢する必要なかったのかなと、そう感じた
「どうされました?溜息など吐いて」
「え?あぁ、、」
無意識に小さく溜息が漏れていたようだ
「もっと自由に、想いを通わせることが出来たら、良いなと、思ってな」
「アヤノとユカのことですか?」
「ヤスタカ、知っていたのか??」
「彼女たちが、自ら意識しだす前から、なんとなくですが」
まさか、ヤスタカが知っていたなんて、驚きも驚きで
「ミキコ先生に、少し話を聞いていたので」
あ、そういうことか
「あとは、雰囲気で」
雰囲気か…
ということは、もしかして…
「ヤスタカも、想い人がいるのか?」
「は?」
「ぇ、あ、すまぬ!勝手にこんなことを、、」
ヤスタカの声に、何でこんなことを聞いたのか、自分でもよく解らず…
反射的に謝る
でもすぐに、いつもみたいに小さく笑って
「、、いますよ」
そう、答えてくれた
「そう、か…」
でも、それになんて言っていいのか分らなくて、、
ただ、ぎゅっと、胸を締め付けられた感覚だけは、印象に残っていた
「陛下には、いないのですか?」
「え?」
「想い人」
それは、考えた事もなかった
だって、、
「いるわけ、ないであろう?」
「そうですか」
いつか、どこかの王子と結婚でもするんでしょ?
想い人ができたら、辛いだけ
そんなの、ヤスタカだって知ってるでしょ?
「なんで、聞くの?」
「陛下には、幸せになってもらいたい。だから陛下に、想い人がいるのなら、その相手と結ばれるよう、全力で後押ししたいと、そう思ったので、、」
なんだかよく分らない、気持ち
私のために、そう言ってくれることは嬉しいけど、、
なんだろう?よく分らないよ
「だったら、その必要はないな?私にはいないのだから」
「そうですね。それまで、まだしばらくは、お側にいさせてもらいます」
ヤスタカ、、
そうじゃないでしょ?
「一生…仕えてくれるんでしょ?」
「そう、でしたね?」
ニヤリと笑うヤスタカ
「忘れないで」
「陛下の、仰せのままに」
おそらく、この時にはもう、、
あなたが想い人
—fin—
最終更新:2010年11月07日 03:28