◆C-side◆
左手首にはめられた腕時計を見る。夕方6時。辺りは既に薄暗い。
のっち行きつけのビデオ屋さんの前に張り込むこと10分、有香ちゃんは「極秘!徳澤直子の秘密」と書かれたノートを閉じた。
「なるほど…良く分かったよ」
「で、感想は?」
「完っっっ璧だね」
その有香ちゃんの一言に、あたしは黙って頷いた。こうも完璧な女性、滅多にいない。お姉ちゃんも確かに凄いけど、なんか次元が違う。
「でもね、ちゃあぽん」
「ん?」
「こんな事しなくても、多分大丈夫だよ」
「え、そうなの!もう仲直りしたの!?」
「まだだけどさ、なんだかんだ言って、この徳澤直子さんものっちの前ではあ〜ちゃんの敵じゃないって事だよ」
それって、つまり…。結局のっちはお姉ちゃん一筋って事?でも、浮気は浮気だよ?
すると、駐車場に一台の車が停まった。中から降りて来たのは、噂の女、徳澤直子。
「来た!」
電柱の影から飛び出そうとするあたし。けど有香ちゃんが腕を掴んで邪魔をする。
「ちゃあぽん、何する気なの」
「決まっとるじゃろ!のっちに近付いたらボコボコにするって脅して…」
「意外と過激だね!?」
などと二人でワーワーしていると、なんと、のっちが現れた。あたし達二人には気付いてないみたいだけど、徳澤直子に声をかけた。
「なっ…のっち性懲りも無く…!」
「しっ、静かに」
有香ちゃんに手で口を塞がれた。のっち、そんなに徳澤直子が良いのか!見損なったよ!お姉ちゃんの純潔を返せレイプ魔!
「直ちゃん、これ…着替え洗っておいたから」
のっちは手に持った紙袋を手渡した。笑顔で受け取る徳澤直子。
「そんな良かったのに」
「本当にありがとね」
何楽しそうに話してんのさ!内容は遠くて聞こえない。気になる気になる気になる…。
「今度遊びに行く時は、もう一人連れてくね」
「そうだね、今度は恋人と一緒に来てね、大歓迎だよ」
「うん、ありがと」
「じゃあそろそろ行くね」
「バイバイっ」
「またねー」
手を振って別れる二人。仲良さそうにしちゃってさ…のっち良い加減にしんさいや!仲直りしたいんじゃないの!?
もう…何がしたいの、のっち…。
「ふふっ」
「何がおかしいの?有香ちゃん」
「いや、のっち格好良いなーと思って」
どうやら有香ちゃんは話の内容が聞こえてたみたいだ。
「え…のっち何て?」
「今度遊びに行く時はあ〜ちゃんも連れて行くってさ」
…そんな事話してたんだ…。のっち格好良い!見直した!やっぱり、王子様は王子様だったんだね。
◆2-23:End◆
最終更新:2008年10月13日 09:58