◆A-side◆
のっちがくれた向日葵が、あ〜ちゃんの手の中で誇らしげに光って見せた。
やっぱり、あ〜ちゃんにはのっちしかいない。もう一度信じてみようと思ったんだ。
「あのね、襲われたって言っても、処女は守ったからね?」
「はいはい」
「だから触られたりしたけど処女膜はまだちゃんと…ぶっ!」
良い加減下ネタがしつこいんで、頬を殴った。もうのっちが処女だって分かったってば。うるさいなー。
あ〜ちゃんはリビングに戻る。見ていたテレビ…まだ終わってないかな?
「あ、あ〜ちゃんっ」
振り返ると、玄関でモジモジしたのっちの姿が。もう、あ〜ちゃんは気にしてないってば。
「早く入りんさいや」
「え…良いの?」
「ご飯今から作るけど、ハンバーグで良い?」
「いいい良いに決まっとる!」
慌てて靴を脱ぎ捨てるのっち。子犬みたいに駆けて来た。あ〜ちゃんにはヘタレ耳と尻尾が見えるよ。
「お腹ペコペコだよ〜」
のっちの高い声が、家に響いた。
◆N-side◆
ご飯は当然美味しかった。一口一口、噛み締めて飲み込んだ。本当の幸せを感じた。
「あ〜ちゃん」
「ん?」
「凄く美味しい」
あ〜ちゃんは照れ臭そうにはにかんだ。それを見てのっちも照れた。
「当たり前じゃ、あ〜ちゃんの愛が詰まっとるんよ」
「うへへ、美味しい訳だ」
またこんな甘い時間を過ごせるなんて夢みたいだ。もしかすると、今までのが全部悪い夢で、これが現実なのかな、なーんてね。
「ご馳走さまー!」
「のっち足りた?」
「うん、お腹イッパイ」
あ〜ちゃんの笑顔で、胸もイッパイだよ。
◆
お皿を洗うあ〜ちゃんの後ろ姿を見ていた。何か手伝わなきゃ。
「あ〜ちゃん、何か手伝うよ」
「じゃお風呂沸かしてよ、ボタン押すだけだから」
「はーい」
やる気無い返事だけど、やる気はあるからね。
お風呂に向かって、ボタンを探す。あったあった。ポチッとな。
浴室を見るとお湯が流れ出て浴槽に溜まってる。温そうだ。
よーし出来たぞ。あ〜ちゃんに褒めて貰お。
リビングに戻ると、あ〜ちゃんは皿洗いを終えてソファに座ってテレビを見ていた。
「何、それ」
「なんか人気の温泉ランキングだって」
のっちは隣に座ってテレビを眺めた。
「あ〜ちゃん温泉好き?」
「行く機会あんま無いけど、こーゆートコ行ってみたいなー」
そう呟くあ〜ちゃんの目はキラキラしていた。
温泉かぁ…のっちもそんなに行った事ないからなぁ。あ〜ちゃんと二人で…うはっ、想像しただけで鼻血が。
「なんで鼻血?」
「ん…分かんない」
もちろん嘘。エッチな事を考えたからだよ。ティッシュを鼻に詰め、のっちは間抜けな姿に。
「温泉…、のっちも行きたい」
「じゃあ今度行こうよ」
「えっ、良いの!?」
あ〜ちゃんと二人で温泉旅行…なんて素晴らしい。しかもあ〜ちゃんから誘われるなんて思ってなかったから凄いビックリで嬉しい。
「来月くらいに多分家族で行くの、のっちも来てよ」
家族で、かよ。二人きりじゃないのか…。あからさまにガッカリするのっち。
「行きたくないの?」
「のっちは…あ〜ちゃんと二人が良い」
「え?大勢のが楽しくない?」
これは天然で言ってるのか、嫌がらせなのか。
「冗談だよ、のっちヘコみ過ぎ」
「あ…冗談だったんだ」
ん?どこからが冗談なんだろ。分かんないよ頭グルグルしてきた。
「のっちと二人が良い」
そう言ってあ〜ちゃんの必殺技、上目遣い。やられた。これやられたら、のっちはもうお手上げだ。
温泉ランキング…見とこうか。
◆2-26:End◆
最終更新:2008年10月13日 10:04