今日は久々のオフ。
前から話してた浴衣お祭りデートの日。
なのにのっちと来たら……。
N『うわ〜、プリキュアの綿菓子とかあるよ?あ〜ちゃんに買って帰ろうか?』
とか、
N『射的だって!あれ落としたい!』
なんて確かにお祭り騒ぎなんだけど……。
ムードも何もない。その上あたしの浴衣姿についてのコメントもなし。
(気合い入れて来たのになぁ…。)
あたしは自然と口数が少なくなってしまう。
N『どうしたん?元気ないけど帯苦しいん??』
K『べっっつにぃー。』
つっけんどんな言い方でイライラをぶつける。
N『?!ゆ、ゆかちゃん?』
トゲトゲした口調で機嫌が悪いのを感知はしたものの理由がわからないでオロオロし始めるのっち。
N『あ、あれっ!りんご飴でも食べる?それともイカ焼……き…。』
のっちの少し前を行くあたし。後ろから聞こえて来ていた声が小さくなるのを感じ、そして声がしなくなった。
ふと振り返ると明後日の方向を見ているのっち。
その視線の先をあたしも目で追ってみたけど何を追っているのかは分からなかった。
N『……。あっ何でもない何でもないっ。』
あたしの視線に気付いたのっちは慌てて言い訳する。どうかした?なんて聞いてもないのに。
妙に焦るその姿が怪しい。
K『誰かカワイイ子でもおったん?』
甘く微笑んであげる。
N『えっ?!いいい、いやっ。』
K『他の人なんか見ちゃやだよ、ゆかの事だけ見てて……?』
とたんにだらし無い顔になるのっち。
N『ゆ、ゆかちゃんの事しか見とらんよっ!ただうなじのキレイな人がい…、ってしまったっ!』
やっぱりね……。嘘付くの下手じゃね、のっち。
K『ふふっ。』
ただ微笑み、何も言わずのっちに背を向けズンズン歩き出すあたし。
N『ち、ちがうんよっ。』
K『何が違うん?』
明るく軽い口調。
内心はもちろん穏やかじゃないけど嫉妬してるとこなんて見せたくなくて平気なふり。
N『あ、いや、そ、そのっ。だからっ。』
K『のっち。』
立ち止まり振り向かずに名前を呼ぶ。
N『は、はいっ。』
K『大丈夫よ、怒っとらんけぇ。だってあたしの浴衣姿より見とれるくらいキレイなうなじなら仕方ないじゃんねぇ。』
明るい口調で目は合わせられないまま吐き出す。
N『あ〜〜。やっぱ勘違いしとるね……。』
不意に手を繋がれ驚くあたし。
N『あのね…。本当はね…。』
のっちの横顔を見ると、真っ赤にして真っ直ぐ前を向いていた。
私は思いきってゆかちゃんの手を取った。
振りほどかれるかと思ったけど、軽く力を込めてみる。するとためらいがちに握り返してくれて私はホッとした。
N『あのね…。本当はね…。』
(うわぁ、恥ずかしいなぁ。でもちゃんと伝えないと。このままじゃゆかちゃんを傷付けたままになってしまう。)
N『確かにうなじに見とれとったよ…。でも見ながら思ってたのは、ゆかちゃんのうなじのが…、その、あの…。』
K『あたしのが?』
ゆかちゃんの声から作りモノの明るさが消えていた。
N『ゆかちゃんのうなじのが全然キレイだなって…。』
ゆかちゃんの方を見れないまま言葉を紡ぐ。
N『その、えっと、じっと見てたら、う、うなじに、キスしたくなって困るんよ…。そ、そんな事考えてますなんて言えんじゃろ?本当は浴衣姿にも…。そ、その、む……。』
どんどん小さくなり周りの音に掻き消される私の声。
K『む??何?』
N『……い、いや、何でもない。』
これはさすがに言葉に出来ないよ。ムラムラしてるなんて…。
K『なにっ?!気になる!』
グイッ!!
と、手を引っ張られ私たちは歩みを止めた。
立ち止まる私達を避ける様に流れ過ぎ去っていく人の群れ。
未だ、目線は合わせられないまま会話を交わすのっちとゆかちゃん。
N『……ドン引きするから言いたくない。』
K『いまさらのっちの何を驚く事があるんよ。』
鼻で笑うような声色。
N『…それひどくない?』
K『いいからっ。教えて?』
可愛い声に簡単に負けてしまう私。
N『ゆ、浴衣姿にムラムラしてます、はい。』
何でもない感じでサラっと言ったのに隣からは何も聞こえて来ない。
不安に負けて横を向くと、そこには顔を真っ赤にして私を見てるゆかちゃんがいた。
K『……ばか。』
私と目が合って恥ずかしそうにプイッと前を向く。
(それは反則だよっ。ますますムラムラしちゃうじゃん!)
彼女の可愛い姿に胸の高鳴りを隠せない。
K『浴衣似合っとる?』
ふいに投げ掛けられる質問。
N『へっ?あ、ああっ!!似合っとるよ!ちょー可愛いっ。』
そう言えば照れ臭くてちゃんと言ってなかったっけ。
K『……もっと早く言ってよねっ。』
急に歩き出す彼女に引きずられる私。
顔を真っ赤にしながら満足そうな笑顔を浮かべるゆかちゃん。
その横顔に撃ち抜かれ自然と私の顔もほころんだ。
K『顔緩みすぎよ、のっち。』
N『ゆ、ゆかちゃんだって緩んどるじゃん。』
K『だって可愛いって言われて嬉しくない訳ないじゃん。』
下を向きながら恥ずかしそうに呟くその姿に私は目眩さえ覚える。
K『家に着いたら帯ほどくの手伝ってね?』
これ以上ないはにかみ笑顔に私の心臓は破裂寸前で、この先待ち受けているであろう事で頭が一杯になった。
N『帯ほどくだけじゃ終わらんかも…。』
K『のっち、あんたそれしか頭にないん…??』
そこには呆れた顔のゆかちゃんがいた。
(完)
最終更新:2008年10月13日 10:24