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「運命ってほんまにあったんじゃね…」
「は?」
あ〜ちゃん家の、あ〜ちゃんの部屋の真ん中。
クッションの上で胡座をかくのっちを、あ〜ちゃんは白い目で見ていた。
「これはもう、運命の出会いだよね!」
「そう、よかったね」
「ちょっと、棒読みやめて。悲しくなるけぇ」
あ〜ちゃんは、のっちの前にあるテーブルにグラスを置いて。
「でも、珍しいこともあるもんじゃね」
と笑った。

「なにが?」
「一目惚れなんて、そうそうするもんじゃないじゃろ?おまけに、のっち人見知りするし」
「うん…」
グラスの中の氷が音を立てる。


思い出すのは、あの時に感じた言葉にできない気持ち。
あれは間違いなく、恋をした時の衝撃そのものだった。


「とにかく頑張ってみんさいや。フラれたら慰めてあげるけぇ」
「ありがと…」
…ん?フラれたら慰めるって、応援してるのかそうじゃないのかどっちだ?まぁ、いいや。



あ〜ちゃん家を出て図書館に向かうあたしに、容赦なく太陽が照りつける。
「と、溶ける…」
やばい…既に汗だくだ…。
っていうか、肩にのしかかる宿題が恨めしい。重いったらないよ、まったく。
「…でも、宿題のおかげなのか…」
今日もあの子居るのかな…?
会えるかどうか分からないけど、会えたらいいな。



図書館の前で深呼吸。
足を前に踏み出す。
いまだかつて図書館に入るのに、こんな緊張感があっただろうか。

もう既に心臓が痛い。
ついでに胃も痛い。


痛む胃を摩りながら、あの子を探す…けどいない。
(今日は居ないのかぁ…)
途端に痛みが治まっていく。
(ほっとしたようながっかりしたような……って、ほっとしたらいかんじゃろ!)

しかし、あの子が居ないのならここに居る理由もないので(宿題は見て見ないふりをする)、帰ろうと踵を返した時だった。
「あっ…!」
「あ……この間の」
さらさらの髪と、あの微笑み。

そこには、あの子が立っていた。



㈪END






最終更新:2008年10月13日 10:42