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大本彩乃16歳。私には血の繋がってない2人のお姉ちゃんがいます。


「のっちー、ご飯だよ!」

お父さんもお母さんも仕事でほとんど家に帰ってこないから、ご飯は1番上のお姉ちゃんのあ〜ちゃんが作ってくれる。

「はぁい!」

あ〜ちゃんのご飯はとても美味しい。特にカレーはヤバいです。今日は煮物みたいだけど、すごく良い匂いがする。

「まだ食べないでね」

あ〜ちゃんの料理を運びながらつまみ食いをしようとしたら怒られた。
なんでバレたんだろう…。コッソリ食べようとしてたのに。

「のっち、また怒られてるー」

けたけた笑いながら階段を降りてきたのは、2番目のお姉ちゃんのゆかちゃん。
ゆかちゃんはあたり達の中で一番冷静でオトナ。

「笑うなー!」

「はいはい、あ〜ちゃんなんか手伝うことある?」

「特に無いからのっちと座ってていいよ」

あたしだけお子様?なんか悔しい。いいもん、どうせ末っ子ですよ。ケッ。

「ほら、のっちおいで〜」

ゆかちゃんが膝の上をポンポン叩きながら、笑ってる。明らかにバカにしてる声。
よし、ここはノってやろう。ポカーンとしたゆかちゃんが見れるかもしれない。
ニヤリと笑いながらゆかちゃんの所にいく。


「じゃあ、お邪魔しまーす!」

華奢なゆかちゃんの膝の上に座って、後ろを振り返る。ふふん、どうだ。意表を突かれただろう。
勇んで振り返ると、そこには目を輝かせて満面の笑みを浮かべたゆかちゃんの姿があった。
しまった!と思ったときにはもう遅くて、すでにゆかちゃんに抱きしめられていた。

「あ〜ちゃん、見て見て!超可愛いぃ!!」

「のっち、可愛いねぇ!よしよししたーい」


…そう、姉2人は超が付くほどシスコン。あたしの口からは絶対言いたくないけど…のっち命なんです。
ハグは当たり前だし、テンションが上がるとチューもしてくる。
まぁ、あたしは美人で可愛いお姉ちゃんにそういうコトされて嬉しいんだけどね。

とりあえず今はご飯が食べたい。
なんとかゆかちゃんの腕から脱出したあたしは、素早く自分の椅子に座った。

「また逃げるぅ…いいじゃん、ちょっとくらい」

「ダメ!あ〜ちゃんが作ってくれたご飯が冷めちゃう!」

「のっち…お姉ちゃん嬉しい!!」

あ〜ちゃんにギュッてされるところだったけどなんとか避けて、やっと夕食にありつく。
このご飯がまた美味いんだ。幸せだねぇ。


夕食を食べ終わって、あたしは茶碗を洗ってるあ〜ちゃんのお手伝い。ゆかちゃんは何か書き物をしてる。レポートかなぁ。
普通にしてれば普通に美人なお姉さん達なのに、本当にもったいないと思う。

“お風呂が沸きました”

あたしがため息をついたのと同時に、アナウンスが流れた。

「のっち、お風呂入っておいで」

「あ、うん」

あたしは一番入浴時間が短い。だからたいてい最初か最後にお風呂に入る。
着替えとタオルはあ〜ちゃんが準備してくれてるから、そのまま脱衣場に向かう。
早く上がってゲームしよーっと。



「ふぃー…」

いつもよりぬるめのお湯が気持ちいい。
のっちが珍しくのんびりとお風呂に浸かってると、斜め後ろでカラカラと扉の開く音がした。不思議に思って振り返ると、バスタオル1枚のゆかちゃん。
のっちは慌てて体を縮こめる。

「ゆ、ゆかちゃんっ!?」

「なぁに?お姉ちゃんの裸で興奮しちゃった?」

クスクス笑いながらのっちをからかう。しかもそれが図星だから何も言えない。
相変わらずゆかちゃんは涼しげな表情をしていた。オトナのよゆーってやつ?

「なんで入ってきたん!?」

「たまにはいーじゃーん」


「背中くらい流すよ」

ニコッと笑うゆかちゃんに、不覚にもドキドキしてるのっちがいる。
ハッと気が付いて邪念を追い出す。ゆかちゃんはお姉ちゃんなんだから!

のっちがひとりでアタフタしてると、また斜め後ろでカラカラと扉の開く音がした。
……もう好きにしてくれ。

「あれ?ゆかちゃんもおったん?」

「姉妹揃ってお風呂に入るの久しぶりじゃねぇ」

そう言って、あ〜ちゃんはのっちのいる浴槽に入ってきた。流石に2人で入るにはキツい…。
お湯が一気に溢れて、ゆかちゃんの足元を濡らしていく。

ちょ、ちょっとタンマ。あ〜ちゃんの柔らかい二の腕が、ふかふかの太ももが、のっちに密着しています。しかも、チラチラ目に入る胸が……や、ヤヴァーい!
お姉ちゃんなのに、のっちのお姉ちゃんなのに、こんなにドキドキしちゃっていいの?のっち、お風呂入ってるのに運動してる並みに汗かいてるよ。

「も、もう出る!!」

この中にいると頭がパンクしそうだよ。
のっちは思いっ切り立ち上がって、風呂場から脱出した。
洗面台にある鏡が真っ赤な顔をしたあたしを映している。お姉ちゃん達にムラムラしたあたしって一体…と少し落ち込んだ。

あたしは急いでスウェットとTシャツを着て、リビングのソファーに腰を下ろした。

どれだけ年数を重ねても、あの誘惑には耐えられない。でも、そんな日常がとてつもなく嬉しい。それはやっぱり、あたし自身もお姉ちゃん達が大好きだからなんだと思う。
じわじわと迫る幸せにあたしは身を委ねて、目を閉じた。


おわり







最終更新:2008年10月13日 11:12