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「あやちゃん」
「ゆ、かちゃん」
びくり、と大袈裟すぎるくらいに身体を跳ねさせるあやちゃん。
普段屋上なんて滅多に来ないくせに、こんな所に居るなんて。多分、あたしの予想は当たってるはず。
「あやちゃんが授業サボるなんて、珍しいこともあるんじゃね」
「……たまにはそういう気分の時もあるんよ」
嘘。目が泳いでるよあやちゃん。
「ふーん…。ゆかはてっきり、さっきのあれのせいかと思っとったけど…」
「っ…」
あやちゃんの表情に動揺が見えた。
…やっぱりか。


太陽から逃げるように日陰に腰を下ろしてるあやちゃんの隣に、あたしも同じようにしゃがみ込む。
「…告白…されとったんじゃろ…?」
「うん」
「結構イケメンじゃったね…」
「うーん…まぁね」
「………OKしたん?」
あやちゃんがぽつりと呟いた言葉は小さくて、上空を跳ぶヘリの音に掻き消えそうなくらい。
でもね、あたしの耳は全部拾うんよねぇ。あやちゃん限定だけど。


「するわけないじゃろ?ゆかにはあやちゃんが居るもん」
「…もし居らんかったら?」
「居らんくても断っとったよ。あんな自意識過剰で自己中なやつ、ゆかは好きになれん」
途端にあやちゃんの顔に安堵感が浮かんだ。
可愛いなぁ、もう。

「それに、ゆかはあやちゃんしか見とらんもん」
「…そんなん言わんくても、知っとるもん」
「じゃあなんでここに居るん?」
「もう!いじわるじゃね、ゆかちゃんは」
あははって二人して笑う。
よかった。あやちゃんはやっぱり笑顔が似合う。
ゆかの太陽。
…あ、のっちの太陽でもあるけど。


不意に強い風が吹き抜ける。
「ゆかちゃん」
「ん?」
あやちゃんの手があたしの制服を掴んだ。
真っ赤な顔をして。
「髪、さらさらじゃね…」
風で靡く髪を押さえて微笑む。
「あやちゃん、遠回しすぎ」
可愛いおねだりに、あたしはいつだって負けてしまう。
顔を近づけると、ゆっくりと瞼が下りる。
「…あやちゃん…大好き」
呟いたあたしの言葉は、透き通るような青空に溶けていった。


END






最終更新:2008年10月13日 11:23