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◇K-side◇

新入生歓迎会、その名の通り、新入生を歓迎する会。去年は歓迎される側だったのに、早いもので歓迎する側になってしまった。時が経つのは早い。
この会は簡単なもので、生徒会長が挨拶して、先生の紹介、学校の紹介、部活動の紹介をするというもの。今年は少し段取りに手間取ったけど、なんとか上手く行きそうだ。
ちなみに私、樫野有香、生徒会執行部書記長を務めております。なんか響き格好良いでしょ?まぁ部活に入ってないし暇だったのと、こーゆー活動をすると内申が上がって進学に有利だと聞いたから。好き好んで入った訳じゃない。
ステージの端の機械室。私は新入生が入場する時の音楽を流す役目を受けた。ただスイッチを押すだけの簡単な役目だ。
早く始まらないかな。小さな小窓から、体育館全体が見渡せた。のっちがいた。あ〜ちゃんと一緒だ。全くのっちのヤツ、自分のクラスの列に戻りんさいや。

◇A-side◇

「あの漫画めっちゃ面白いよ!あ〜ちゃんも絶対ハマる、貸すから読んでよ」
会が始まろうとしているのに、のっちが自分のクラスの列に戻る気配はない。さっきからずっと好きな漫画の話をしてる。


あ〜ちゃんの事はお構いなしに凄く楽しそうに話すのっち。まぁ可愛いから許すけど。
『それでは、新入生の入場です』
アナウンスが鳴って、音楽が流れた。背後のドアから初々しい一年生達が並んで歩いてくる。
「のっち、はよ自分のクラスの所戻りんさいや」
「えー」
「えーじゃない、早く」
「はぁい」
間の抜けた返事。全くやる気の無い表情でのっちは自分のクラスの列に戻って行った。
「ねぇねぇ西脇さん」
隣に座っていた鈴木さんが声をかけてきた。あんまり喋った事無いけど、大人しい感じの子。
「大本さんと仲良いけど、二人は付き合ってるの?」
う…またこの質問だ。今日で2回目、先週からと合わせると15回目。皆そんなにのっちの事が気になるのか。
まぁ付き合ってるけど、皆には言わない。付き合ってないよって嘘を付く。だってのっちファンクラブの人達に殺されたくないし。
「付き合ってないよ、ただの友達」
「そうなんだ、仲良いんだね」
「小学校の時からの知り合いなんよ」
こう言えば大抵の人は納得する。そんな昔から仲良いんだったら当然だ、って。
これは嘘じゃなくて本当の話。のっちはあ〜ちゃんの初恋の人だった。


◇N-side◇

あ〜ちゃんに怒られたんで仕方無く自分の居場所に戻る。もう一年生達は全員入場して、前方に綺麗に並べられたパイプ椅子に着席していた。
ボーッとしてると、ステージの脇にある小窓から、ゆかちゃんの姿が見えた。生徒会の仕事頑張ってるんだなぁ。凄いや。
ゆかちゃんと目が合った。あ、こーゆーの嬉しい。笑顔で手を振ったらシカトされた。なんだよ寂しいな。
しばらくするとポケットの中で携帯が震えた。見ると、ゆかちゃんからメールだった。
『あ〜ちゃんに迷惑かけちゃダメでしょ』
あ、見てたんだ。
『…ごめんなさい』
送信、と。
『先生にバレたら携帯没収されちゃうよ』
メール打つの早いなゆかちゃん。
『ならメールしないでよ』
先生が周りに居ないか確認して、送信。
すると、
『ゆかエッチしたい』
…え…。
ゆかちゃん、突然なんてメールを送ってくるんですか君は。
『今?』
とりあえず送信。胸がドキドキしてきた。
『うん』
…ゆかちゃん…。
『これ終わったら何かある?』
『なんかゆかだけ体育館じゃなくて生徒会室の片付けで良いみたい』
『じゃあ生徒会室で待ってて』
これはヤバいよ。


◇09:End◇






最終更新:2008年10月13日 11:26