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◇A-side◇

綺麗な青空。見事に晴れた昼下がりの午後、あ〜ちゃんは急ぎ足で駅に向かった。
駅の改札の前に、のっちが居た。ロンTにスキニーパンツにエンジニアブーツという格好良くて少しボーイッシュな姿。のっちはカジュアルな格好が好きだ。あと、黒っぽい。全体的に黒っぽいイメージ。
「あ、あ〜ちゃん」
あ〜ちゃんに気付くと、のっちは手を振ってきた。無邪気な笑顔が眩しい。
「ごめんね、待った?」
これ、一度言ってみたかったんだよね。
「ううん、のっちも今来た所だよ!」
のっちの手には切符が二枚握られていた。あ〜ちゃんの分も買ってくれたんだ。優しい、のっち。
「今日の格好…超可愛いね」
あ、のっち顔赤い。やった。褒めてくれた。褒めて貰う為に着て来たんだもんね。
「のっちの格好、あ〜ちゃん好きだよ」
「ほんまに?かなり適当だったんだけど、良かった〜」
のっちはセンスは良いと思う。雑誌とか流行とか意識してないけど、どれものっちに似合って格好良い。元が良いから何を着ても似合うのかもしんないけど。
「じゃ、行こうか」
のっちはあ〜ちゃんの手を握って歩き出した。のっちが王子様に見えた。


◇N-side◇

今日はのっちの優しさを十分に発揮してやるんだ。そしてあ〜ちゃんをメロメロにしてやる。
王子様みたいにリードして、完璧にエスコートしてみせる。そして最高にロマンチックなキスをプレゼントするんだ!く〜、のっちってば、完璧過ぎる計画だ。
「着いたー遊園地!」
「わーい!」
最初は思いっきりはしゃいで楽しむんだ。ジェットコースターやら絶叫系のが大人気のこの遊園地、一日じゃ全て乗り切れないくらいたくさんのアトラクションがある。
しかも休日とだけあって、かなりの人の数。どれも列に並ばないと乗れなさそう。
「あ〜ちゃん、アレ乗ろうよ!」
あ〜ちゃんの手を引いて、遠くに見えるアトラクションを指差した。キャーキャー楽しそうな悲鳴が聞こえる、ジェットコースター。この遊園地の一番人気で、一番恐いらしい。
「…う、やだ…」
あ〜ちゃんは目に涙を浮かべていた。そういえば苦手だっけ、絶叫系。だけど怯えた表情がキュンと来た。可愛い…。
「乗ろうよあ〜ちゃん、絶対楽しいよ!」
「うぅ…絶対恐いよ…」
「恐くないって!のっちが付いてるからさ」
あ〜ちゃんの手をギュッと握った。へへ、のっちイケてるねぇ。


ゆっくり頷くあ〜ちゃん。よし決まり。
「列並ばなきゃねー」
「ん…その前にトイレ、あ〜ちゃんジェットコースター乗っとる最中にお漏らししたくない」
恥ずかしそうにあ〜ちゃんはのっちの手を引く。なんて可愛いんだ!思わずクラッと来た。
「そだね…のっちもトイレしとく」
ジェットコースターで失禁なんて、絶対にしたくない。




列に並ぶこと一時間弱、次はのっち達の番だ。
みるみるあ〜ちゃんの顔が青くなってく。悲鳴が聞こえるから更に恐怖感が増すんだろうな。
「のっちぃ、やっぱり辞めようよ…」
「大丈夫、恐くないって」
のっちも正直ちょっとビビってるけどさ。だけどのっちジェットコースターとか平気だし。
「ずっとあ〜ちゃんの手握ってるよ、そしたら恐くないでしょ?」
「……うん」
あ〜ちゃんが頷く。
「絶対、離さないでね?」
その上目遣いは反則ですよあ〜ちゃん。のっち急にドキドキしてきたじゃないか。
「どうぞ、二番にお乗り下さい」
お姉さんに案内され、のっち達はジェットコースターに乗り込むと、安全装置が取り付けられた。ひゃー緊張する。
あ〜ちゃんの手は、小刻みに震えていた。


◇13:End◇






最終更新:2008年10月13日 11:54