正直、のっちが一目惚れだなんて有り得ないと思ってた。
だって人見知りするし、そのせいで友達も一向に作れないのっちだったから。
でも、のっちは変わろうとしてる。たった一人の女の子を想って。
「お姉ちゃん」
「へ…?あ、なに?」
「さっきからぽけーっとして、大丈夫?」
心配そうに、ちゃあぽんがあたしの顔を覗き込む。
…そんなにぼけっとしてたんだ。
アホらし。のっちじゃあるまいし。
ふぅ、と溜め息を軽く吐いて、なんでもないって言おうとした時。不意にちゃあぽんの顔が近づいてきた。
(な、なん、一体なんなんよ!?)
こつん。
おでこがぶつかる。
「熱は…ないね」
「……っ」
何故か心臓の音が煩い。
おまけにほっぺまで熱い。
(な、なんでこんなドキドキするんよ…妹相手に有り得んじゃろ)
「な、んしよるん…」
「え…熱計って、」
「べ、別に体調は悪くないんじゃけ、はよ離れんさいや」
「…そう?」
(こ、これは…そう、あれよ!ちゃあぽんは結構顔がいいけぇ、そう思うだけなんよ!)
なんて、心の中であたふた。
(ただの妹なのに、おでこくっつけたくらいで焦って、恥ずかしいわ…)
すっかり熱いほっぺを両手で挟んでみる。早く熱下がらんかな。
「…うりゃ」
「ふにっ!」
いきなり鼻を摘まれた。
…まったくこの子は。
「こら、ちゃあぽん!」
「あははっ、怒る元気あるんじゃん。なーんだ、心配して損した」
じゃあ、出掛けてくるねー。なんて脳天気な声が、すでに玄関から聞こえている。
なんて逃げ足の早い。
「…もう!」
触られた鼻が熱い。
きっと、今のあたしの顔は有り得ないくらい真っ赤になってるはずだ。
「有り得んわ……」
ちゃあぽんは妹なのに…。
ぽつりと呟いた言葉は、やけに部屋に響いた。
番外編END
最終更新:2008年10月13日 12:02