◇N-side◇
「じゃあ、そろそろ帰るね」
あ〜ちゃんはそう言って、立ち上がった。
「泊まってけば良いのに」
「無理だよ、家にちゃあぽんおるもん」
仕方無い事だって分かってる。わがまま言ってはいけない。あ〜ちゃんに迷惑をかけちゃいけないんだ。
「…帰って欲しくない」
あ〜ちゃんの腕を掴んで、のっちはあ〜ちゃんの目を見つめていた。何をしてるんだろ。この手を離さなきゃ、そう思っても手はあ〜ちゃんを離さなかった。
「明日も明後日も遊びに来るよ?」
分かってる。それは分かってるんだけど…。何を焦っているんだろ。前にキスしたから?いや違う。
多分、ゆかちゃんと沢山エッチな事をしたからだ。早くゆかちゃんとの関係に追い付かなきゃいけないって焦ってる。
今のままじゃ、ゆかちゃんのがのっちの中でリードしてる気がして恐い。どっちも同じくらい愛してる。だけど、のっちの頭の中じゃ、ゆかちゃんが強いんだ。
「…ごめん、わがまま言って」
深呼吸をして、手を離した。焦るなんてのっちらしくないよ。こーゆーのは焦るもんじゃない、良く分かってる。
だけど…。あ〜ちゃんを置いて行ってしまいそうで恐いんだ。きっとのっちは、これからもゆかちゃんを抱く。何回も愛する。
そして回数を重ねるごとに、のっちもゆかちゃんも成長してく。多分、初めての時と比べれば今じゃのっちもゆかちゃんも耐性が付いた。変な意味でなく、慣れてきた。
「あ〜ちゃんは逃げんよ、明日も明後日も、のっちと一緒におる」
あ〜ちゃんの声はまっすぐだった。のっちの胸に突き刺さる。
「ずーっと一緒におる」
その笑顔に、忘れていた事を思い出した。のっちはあ〜ちゃんを幸せにする事が出来れば他に何も要らないんだと。
あ〜ちゃんはゆかちゃんじゃない。全くの別人で、同じ恋人。愛し方だって違って良いじゃないか。
大事な事を見失ってた。ゆかちゃんとの差なんてない、あ〜ちゃんはあ〜ちゃん、ゆかちゃんはゆかちゃんなんだ。
◇
あ〜ちゃんを家まで送って、別れ際にキスをした。
「じゃ、また明日ね」
「うん、また明日」
明日も明後日も、一ヶ月後も一年後も、この先ずっと、のっちは二人を愛してる。
いつかこの関係がバレて二人を失う事になっても、きっと変わらない。
愛してるんだ。
◇17:End◇
最終更新:2008年10月13日 12:24