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◇N-side◇
「え!結局ネズミーランド行く事になったの!?」
「一泊二日なんだけど、たかしげ負けて帰って来るみたいだから行くかーって」
「そっかぁ…お土産よろしく!」
そう言って、あ〜ちゃんは家族でネズミーランドへ旅立った。
だから、ゆかちゃんとのっちは二人だけで残りのゴールデンウィークを過ごす事になったのだ。




「ゲーム楽しい?」
「うん、楽しいよー」
ゆかちゃんが学校の宿題を隣でしてるのにも関わらず、のっちは自己中にゲームをしてる。のっちはもう宿題終わったもんね〜。
「ふーん、」
ゆかちゃんはのっちを気にせず宿題を続ける。さっきから凄いペースで次々と問題を解いている。このペースだとあと一時間もあれば終わるんじゃない?のっち一日掛かったのに。
「のっち、お腹空いたね」
「そーだね、ラーメン食べる?インスタントだけど」
「うん食べるー」
珍しいな。本当はちゃんとした料理を作ってあげたいけど、まだレパートリーがゆかちゃんに教えて貰ったオムライスしか無いもんだからさ。
「じゃ作るから待っててね」
のっちはゲームを止めてキッチンに向かった。



「美味しい?」
「うんっ、麺の固さが絶妙じゃね」
のっちインスタントラーメンには自信があるんだ。今まで腐る程作って来たからさ。まぁそれしか作れないんだけど。
「宿題終わりそう?」
「あと一ページで終り」
「早っ!」
仰天するのっち。どんだけ早いんですか。
「だって早く終わらせて、のっちと遊びたいもん」
…可愛いじゃないか。のっちも早く遊びたいよ。
ゆかちゃんがラーメンをおしとやかに啜る。のっちみたいにズルズル啜らない所がまた女の子らしいというか。
「あ…」
ゆかちゃんが長い髪をウザそうに耳にかけた。今の仕草…凄く色っぽくてドキッとした。
「のっち、早く食べないと伸びちゃうよ?」
「あ、うんっ」
いけないいけない。見とれてた。ゆかちゃんは小さく笑って、スープを飲んだ。


午後三時。
「ゲーム楽しい?」
またゆかちゃんが尋ねてきた。さっきと同じ質問だ。だけどさっさと違うのは、ゆかちゃんは宿題を終わらせたという事。
「うん、楽しいよ」
「ねぇ、ゆかにも教えて?」
「良いよ」
ゆかちゃんがゲームに興味を示したのが嬉しかった。自分の趣味を好きな人が分かってくれるのは嬉しいよ普通。


「はい、」
「コレどーするの?」
「これで移動して、×でジャンプ、□で攻撃、△で強い攻撃、とにかく敵をやっつければ良いの」
「ふーん、やってみるね」
慣れない手付きでコントローラーを握るゆかちゃん。なんかのっちのテンションは上がった。
「待って待って!イッパイ来たよ!」
「ゆかちゃん攻撃!三角押しまくって三角!」
「ちょっと待って多すぎるよっ!」
「あー違うよそっちじゃないよ!逆逆!」
こんなにゲームで盛り上がったのは初めてだった。凄い楽しくてずっと笑ってた。
「ひゃーやられたぁ」
「ゆかちゃん弱過ぎるよー」
「のっちがちゃんと教えてくれないからじゃん」
ゆかちゃんが頬を膨らます。あ、ふーくんみたいだ。飼い主はペットに似るって言うしね。ん?逆か?
「じゃあ、ちゃんと教えてあげる」
ゆかちゃんの後ろに回り込み、後ろから抱き締める様な形でゆかちゃんの手の上からそっとコントローラーを握った。のっち、ゆかちゃんの椅子みたい。
「ゆかちゃんの髪…良い匂いする…」
「ゲームに集中してよー」
クスクス笑うゆかちゃん。うん、ゲームとゆかちゃん、どっちにも集中します。


「凄ーい、強いねのっち!」
「まぁねー」
のっちにしてみたら毎日やってんだから楽勝だ。ゆかちゃんの肩に顎を置いて、何度も深く息を吸い込む。
「はい、次は一人でやりなよ」
のっちは重ねた手を離す。離した手は…ゆかちゃんの細い体を抱き締めた。たまにはベタベタ甘えたって良いじゃん、ね?
「ゆかがこのステージクリアしたら、何かご褒美ちょうだいよ」
「ご褒美…?」
「キス一回ね」
ゆかちゃんは腕の中で振り返り、上目遣いで微笑んだ。あぁ…キスか…。なんならもっと凄い事でも良いのに。のっち頑張っちゃうのに。
「もし、クリア出来なかったら…?」
そう尋ねると、ゆかちゃんはしばらく考え混んで、のっちの手を擦った。
「罰ゲームで、のっちの言う事、なんでも聞くよ」
…なんでも?
マジで言ってるのゆかちゃん?のっち…とんでもない事、今想像してるよ?モザイクまみれだよ?
「…負けてゆかちゃん」
「えーやだ、勝つよ」
「お願い、負けて下さい」
のっちが神様に祈りながら、ゲーム開始。こんなに敵のキャラクターを応援した事は未だかつて無い。
「のっち、邪魔しないでね」
…上等だ。


◇18:End◇






最終更新:2008年10月13日 12:28