◇K-side◇
のっちはずっとニコニコしながら、ベランダに干されたベッドシーツを眺めていた。本当に恥ずかしいから辞めて下さい。
だって、まさか潮を噴くなんて…。有り得ない有り得ない。本当に潮って噴くんだね。
「のっち、そんなに嬉しい?」
「そりゃ嬉しいよーゆかちゃんが潮噴くなんあぶえっ!」
面と向かって潮噴くとか言うな。しかも噴いた本人に。あーもう恥ずかしくて死にそう。誰かゆかを殺して下さい。
ゆかに殴られたのっちは、しばらく死んで、またしぶとく生き返った。生命力はゴキブリ並みだね。
「もう、エッチせん」
「え!?」
「のっちとはしたくない」
「なんでなんで!そんな事言わないでよゆかちゃん〜」
のっちをシカトしてニュースを見る。これは、ゆかをこんなにも辱めたのっちへの罰だ。もちろん冗談だけど、しばらくは構ってあげない。
「ゆかちゃんってば〜」
情けない声を出すのっち。情けないのはゆかの方だ。窓の外で揺れるベッドシーツを眺めて、大きく溜め息を付いた。…トラウマになりそう。
てゆーかもう、軽くエッチ恐怖症です…。
◇A-side◇
「楽しかったねーネズミーランド」
ちゃあぽんが隣でお菓子を頬張りながら言う。帰りの車の中、たかしげは疲れて眠ってて、お父さんは車を運転してて、お母さんはデジカメの写真を見ながらあーだこーだ独りで呟いている。
「そうじゃね」
「お姉ちゃん、本当はのっちと来たかったんじゃろ?」
「なっ、何を言うとるん!」
お母さん達がいるのに…あ〜ちゃんは焦って声が裏返った。本当にそう思っていたから。
「のっちがどうかした?」
ほら、お母さんに聞こえてたじゃん。
「なんでもないよ」
「ふーん、そういえばこの前、スーパーでゆかちゃんとのっち見たよ」
「…スーパーで?」
「二週間くらい前だけど、あの二人仲良いねぇ」
ゆかちゃんが晩ご飯でも作りに行ったのかな?そーゆー事、教えてくれたらあ〜ちゃんも行くのに。なんで言ってくれなかったんだろ。しかも、二人揃ってあ〜ちゃんに内緒なんて。
「…お姉ちゃん、眉間に皺寄ってるよ」
「え、」
「ゆかちゃんに嫉妬してるの?」
ニヤニヤ笑いながらちゃあぽんが言う。別に、そんなんじゃない。昔から仲良しだもん。ゆかちゃんの事も、大好きだし。
だけど…少し傷ついてる自分がいるのは事実。なんであ〜ちゃんだけ仲間外れにしたの?なんかショック。
◇N-side◇
「じゃ、明日学校でね」
「うん、おやすみ」
ゆかちゃんを家まで送る。別れる時に、キスがしたくてずっと唇を見つめていたら、ゆかちゃんがのっちの視線に気が付いた。
「何?ゆかの顔に何か付いてる?」
「ううん…えっと、…」
あんな事しといて今さらキスしたいって恥ずかしくて言えないなんて…。やっぱりまだヘタレは卒業出来ないみたいだ。
「ふふ、のっち眉毛がハの字」
眉間にそっと触れるゆかちゃん。その笑顔に、胸がキュンと締め付けられる。
「のっち、目閉じて」
「あ、はい…」
黙って言われた通りにした。唇に、柔らかな感触。まさかのキス。
「また明日ね」
アホみたく固まったまま、のっちは家の中に入ってくゆかちゃんを見送る。
ゆかちゃんと一緒に居れば居る程、ゆかちゃんに弄ばれてる気がするよ。これからも、こんな刺激的な時間を一緒に過ごせるのかな?
のっちの心臓、ちゃんと持つかな?
まぁ良い。もし無理でもあ〜ちゃんが癒してくれるから。なんか…良い意味でバランスが取れた二人だね。
◇20:End◇
最終更新:2008年10月13日 14:43