◇N-side◇
そうだ、忘れる所だった。
「あ〜ちゃん、コレ」
のっちは鞄から包みを取り出した。ピンク色のリボンが可愛い小箱。あ〜ちゃんのカラー。
「?」
「今日、記念日だから…」
何か形になる様な物を残したかった。記念日って大切な物だって雑誌に書いてあった。多分誕生日なんかと同じ、人生に一度きりの大切な日だから。
「え…あ〜ちゃん、貰って良いの?」
「もちろん」
「ごめん…」
え、まさか重かった?受け取ってくれないなんて事…無いよね…。
「ちょっと待ってて!」
そう叫んであ〜ちゃんは家に駆け込んだ。バタバタと凄い勢い。何何?のっち失敗だったかな?どーすれば良いの。
「たかしげー!!あんたねぇ…〜!」
数秒後に聞こえてきたのは、あ〜ちゃんの怒声。何事ですかとビクつくのっち。
しばらくしたらバタバタと凄い勢いで、あ〜ちゃんが姿を現した。息を切らしてる。手には大きな袋が。
「ハァハァ…お返し」
その袋を、渡された。ネズミーランドの袋だ。先週あ〜ちゃんが家族で行ったテーマパーク。
「のっちがプレゼントなんて…思いも寄らんかったけぇ、これで許して」
「え…お土産もらったよ?」
「他にも…のっちに色々買ったけど、こんなに要らんかなと思って渡さんかった」
「コレ全部?」
「お菓子ちょっとたかしげ食べちゃったけど…許して」
それでさっきたかしげに怒鳴ってたのか。袋の中を覗くと、ヌイグルミとか小物とかたくさん入ってた。わぁ凄い。
「あ、ありがとう!なんか…のっちそれだけでごめん」
「ううん、めっちゃ嬉しい。開けて良い?」
「あ、うん」
なんか照れるな。普段あんまり入らない様な可愛いお店で結構悩んだんだ。あ〜ちゃんが喜んでくれそうな物、ずっと考えたんだ。
あ〜ちゃんがゆっくりリボンを解いて、箱を開ける。中には小さく光る、石。
「可愛い!ネックレスだ!」
あ〜ちゃんが笑った。その笑顔が一番欲しかった。頑張って選んだ甲斐があったよ。幸せだ。
「それ、あ〜ちゃんに似合うと思って」
「ありがとう、ほんまに嬉しい」
「えへへ」
照れちゃうなー。
「着けてあげる」
身に着ける物が良いかな、って思ったんだ。だけど指輪だと重過ぎる気がして、これを選んだ。
あ〜ちゃんが後ろを向く。ソレを受け取りそっと前に手を回し首に付けて、フワフワな髪を優しく払った。
あ〜ちゃんがクルリと振り返る。
「似合う?」
「うん!」
華奢なデザインにして良かった。大きくて派手なのより、控え目な感じがあ〜ちゃんに良く似合う。これにして良かった。
「ずっと大切にするね」
「…うん」
胸元に光る石が、誇らしげに光って見せた。
君のその笑顔があれば他に何も要らない。
その笑顔を守る為なら、のっちは何だってするよ。
「…ありがとう」
のっちの肩に手を置いて、あ〜ちゃんは背伸びする。一瞬で顔が近付いてきて、唇に熱が帯びる。
風の匂いが切ない。
のっちは目を閉じた。
ただ目を閉じて、君のぬくもりを感じた。
「お姉ちゃん大胆〜」
咄嗟に離れる唇。のっちも慌てる。見られたっ。
声のした方向を見ると、学校帰りのちゃあぽんの姿。ニヤニヤと悪い顔をしている。恥ずかしくて顔から火が出そう。
「どどどどどっ」
あ〜ちゃん動揺し過ぎ。工事現場だよ。のっちも動揺して声すら出ないけど。
「まぁ誰にも言わないであげても良いよ〜」
ちゃあぽんはそう言ってあ〜ちゃんとのっちの間をすり抜け、家に入った。
「……」
「……」
二人揃って真っ赤な顔して、しばらく固まっていた。
◇23:End◇
最終更新:2008年10月13日 18:09