「…これでよし」
額の汗を拭う。
さっきまで漫画やらゲームソフトやらが散乱してた部屋を掃除したから汗びっしょり。
今日はゆかちゃんが家に来るからと意気込んで、昨日からコツコツと掃除して家の消臭も済ませたり布団も干したり完璧にした。
汗かいた服は洗濯機に放り込んで、お気に入りの服に着替える。のっち準備万端。
さぁ、ゆかちゃんカモン!
ピンポーン。
「うわっ!ほ、ほんまに来た!」
バタバタと玄関に走る。
ガタガタ、ガチャッ。
「お邪魔しまー…どうしたん?のっち」
「…あ、足ぶつけた…」
「あの、ごめんね。一人暮らしじゃけぇ汚いかも…」
「ううん。あ、ここ座ってもいい?」
「あ、どうぞ」
人に部屋見られるのって恥ずかしいな。
あ〜ちゃんだって今まで数えるくらいしか入った事ないし。まぁ、その時は『部屋汚い』って怒られたけど。
「えっと…飲み物持ってくるけぇ待っとって。オレンジでいい?」
「うん」
床にぺたんと座ったゆかちゃんは今日も可愛い服を着てる。
もしかしてあたしの為に、なんてそんな訳ないか。そうだったらいいのになぁ。
グラスをテーブルに置くとガラス製だから音がやけに響く。
「あ、ごめん…うるさいかも」
「のっち、さっきから謝ってばかりじゃね」
ゆかちゃんがくすくすと笑った。途端に顔が熱くなる。
「ごめん、あっ!」
「またー」
「…ごめん」
「えへへっ、いいよ」
あんまり可愛く笑うからあたしもつられて笑った。
今日の勉強会で、あたしもゆかちゃんも宿題を全て終えた。
これでもう、あの図書館に行く理由も家に誘う理由もない。だから今日こそ告白するって決めた。
でも何度もタイミング失って、まだ言えずにいる。
「…もうこんな時間なんじゃね」
ゆかちゃんが、ゲームを映す画面を見ながらポツリと呟く。
あたしはコントローラーを床に置いて電源を消した。
「…送るよ」
「ゆかなら大丈夫よ?」
「送らせてよ。世の中物騒じゃけぇ、また変な男に絡まれるかもしれんし…」
ゆかちゃん、せめて最後にチャンスを下さい。
今日伝えるって決めてたんだ。ずっと好きだったって伝えたいんだ。
だから帰り道に、絶対言う。
「分かった。でも、のっちも気をつけてね?」
「のっちは大丈夫。いざとなったら…まぁなんとかするけん」
「なんそれー」
ゆかちゃんが笑いながら支度を始めた。
㈷END
最終更新:2008年10月13日 18:15