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「星もお月さまも綺麗じゃねー」
「…うん」
辺りはすっかり真っ暗で、外灯がぽつんぽつんと立っては夜道を照らしている。
ゆかちゃんの後ろ姿が月の光に照らされて、時折外灯に照らされてとても綺麗だ。
「のーっち」
外灯の下、ゆかちゃんがくるりとこっちを振り返る。
「…ん?」
「今日はありがとう」
「のっち何もしとらんよ?」
「今日すっごく楽しかったけぇ、お礼言いたかっただけなんよ」
ふわりと笑いながら歩くゆかちゃんが綺麗で、可愛くて。
抱きしめたいと思った。
言わなくちゃと思った。

「…ゆかちゃん」
「なに?」
「実は、ゆかちゃんに言ってない事があるんよ」
首を傾げて立ち止まるゆかちゃんと向き合って。
痛いくらいはやる心臓を抑える。
喉が渇くけど気付かないふりをした。…絶対、言うんだって決めたんだ。
「…のっち、は」
言え!のっち!
「ゆかちゃんが…ゆかちゃんの事が好きです」
「え…っ」
「初めて見たときから、ずっと好きでした」
状況を飲み込めないのか、ゆかちゃんがぽかんとしてあたしを見る。
そりゃそうだよね、告白されたんだもん。しかも同姓からだし。


…沈黙が怖い。
ゆかちゃんは何も言ってくれなくて、あたしは足元に視線を落とした。
(フラれたかもしれないな…)
「ゆかちゃーん!」
「…?」
向こうから声が聞こえた。
見えた姿に見覚えがある。『直ちゃん』って呼ばれてた人だ。
「やっぱりゆかちゃんだ。どうしたの?こんな所で。家に帰る途中?」
「え…あ、うん…。友達の家に行っとったんよ…」
「へぇー。あ、もしかして君がのっちちゃん?」
やっぱりこの人美人だなぁ…じゃなくて。こんな時にタイミング悪いよ…。
「そうですけど…」
「ゆかちゃんからよく話聞いてるよ。カッコイイね」
「いや、そんな…」
そんなまじまじと見られると恥ずかしいんですけど。
目を逸らすと、『直ちゃん』はゆかちゃんに話しかけた。
「あたしも用事があってこっち来てたんだけど、もう帰ろうと思ってたんだ。一緒に帰ろ?」
「あ…うん。…ごめんねのっち、送ってくれてありがと…」
「ううん、じゃあね…。…失礼します」
ぺこりと頭を下げると『直ちゃん』も頭を下げた。
ゆかちゃんの顔は怖くて見れなかった。


結局返事は聞けずじまい。でも、もう次はない。
「…やっぱり家で言っとけば良かったかも…アホだ、のっち」
帰り道、何度も頭の中でゆかちゃんの笑顔がフラッシュバックされて。どうしようもない気持ちを抱えたまま家に着いた。


㉂END






最終更新:2008年10月13日 18:20